ユルバン(英語表記)Georges Urbain

改訂新版 世界大百科事典 「ユルバン」の意味・わかりやすい解説

ユルバン
Georges Urbain
生没年:1872-1938

フランスの化学者。パリの生れ。パリ理化学校を卒業後,希土類元素研究を始め,1899年学位を得た。5年間電気会社の研究所長を務めたあと,1906年パリ大学の分析化学助教授,08年鉱物化学の教授となる。分別結晶法や磁気的・分光学的手法を用いて希土類の厳密な分離法を確立し,07年オーストリアのウェルスバハ独立に,イッテルビウムからルテチウムを分離することに成功した。28年一般化学の教授となったが,その講義はつねに満堂聴講者を集めたといわれる。万国原子量委員,フランス化学会長,生物学研究所化学部長などの役職を務めた。研究のかたわら,美術や音楽の趣味においても豊かな才能を示した。
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化学辞典 第2版 「ユルバン」の解説

ユルバン
ユルバン
Urbain, Georges

フランスの化学者,鉱物学者.パリ市立物理化学学校を1894年に首席で卒業.同校で教えていたP. Curie(キュリー)の影響で研究者を志す.1895~1898年C. Friedel(フリーデル)の私設助手を務めた後,1899年に希土類に関する論文でパリ大学から学位を取得.1906年ソルボンヌ大学の分析化学の助教授になり,1908年に鉱物化学教授となる.1928年からはパリの化学研究所と物理化学生物学研究所所長を務めた.希土類の研究を行い,とくにイッテルビウムからルテチウムを分離した.希土類の原子量測定から国際原子量委員会委員長も務めた.1912年以降は理論的な研究を行い,A. Werner(ウェルナー)の錯体理論の拡張を試みた.

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百科事典マイペディア 「ユルバン」の意味・わかりやすい解説

ユルバン

フランスの無機化学者。パリ大学教授。希土類元素の研究を行いガドリニウムの性質を明らかにし,1907年イッテルビウムとルテチウム(当初,ルテシウムと命名)の分離に成功した。

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世界大百科事典(旧版)内のユルバンの言及

【イッテルビウム】より

…周期表元素記号=Yb 原子番号=70原子量=173.04±3地殻中の存在度=3.0ppm(41位)安定核種存在比 168Yb=0.140%,170Yb=3.03%,171Yb=14.31%,172Yb=21.82%,173Yb=16.13%,174Yb=31.84%,176Yb=12.73%融点=824℃ 沸点=1427℃比重=6.977(α‐イッテルビウム),6.54(β‐イッテルビウム)電子配置=[Xe]4f145d06s2 おもな酸化数=II,III周期表第IIIA族に属する希土類元素のうちのランタノイドの一つ。…

【イッテルビウム】より

…イッテルビアからはイットリウムをはじめ各種の元素が見いだされたが,さらに1878年スイスのマリニャックJean Charles Galissard de Marignacは新元素を発見し,それをイッテルビウムとした。しかしこれも実は単一の元素ではなく,1905年オーストリアのF.vonウェルスバハとフランスのG.ユルバンがそれぞれ独立に,これが二つの元素からなることを明らかにし,その一つをイッテルビウム,他をルテチウムとした。主要鉱石はガドリン石,ゼノタイムなど。…

※「ユルバン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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