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「ユリ(百合)」の意味・わかりやすい解説
ユリ(百合)【ユリ】
ユリ科ユリ属の総称。北半球の温帯を中心に約100種あり,日本には15種が自生。観賞用に栽培されるものも多く,また多数の園芸品種が作出されている。多年生で地下には鱗茎があり,茎は直立する。葉は線状披針形で互生し,ときに輪生。花はふつう大型で漏斗(ろうと)状または鐘形,花色は白,淡紅,紅,黄などさまざま。花被片6枚,おしべは6本で,葯(やく)は花糸にT字状につく。ユリはふつう,テッポウユリ類(テッポウユリ,ササユリなど),ヤマユリ類(ヤマユリなど),スカシユリ類(スカシユリ,ヒメユリなど),カノコユリ類(カノコユリ,オニユリ,クルマユリ,タケシマユリなど)の四つに大別される。テッポウユリは琉球列島に自生し,高さ1mにもなる。花はらっぱ形,純白色で芳香が強い。4〜6月,開花。明治初期に欧米に紹介され,愛好されている。ヒメユリは各地にごくまれに自生。茎は高さ30〜80cm,花はだいだい黄色まれに赤色となり,5〜6月,開花する。カノコユリは四国,九州に自生。茎は高さ1〜1.5m,花は白色で淡紅色を帯び,濃紅色の斑点がある。6〜8月,開花。白色花もある。タケシマユリは韓国の鬱陵(うつりょう)島にはえ,高さ1〜1.5m,花は鮮黄色で,6〜7月,開花する。ウバユリ,クロユリは別属。なお,オニユリ,ヤマユリなどの鱗茎は食用となる。
→関連項目球根|万葉植物
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ユリ(百合)
ユリ
Lilium; lily
ユリ科ユリ属の植物の総称であるが,ユリ科の他の属の植物にも…ユリの名で呼ばれる植物は多い。ユリ属は世界で約 100種が知られているが,北半球の温帯に多く,特にアジアには約 60種あり,北アメリカ,ヨーロッパがこれに次ぐ。日本には約 15種があり,中国や朝鮮との共通種が多い。花が美しいので古くから観賞用に栽培され,多くの園芸品種がつくられている。多年草で地下にゆり根という鱗茎があり,初夏から夏にかけて,茎の上部に総状に美花をつける。おもな日本の自生種としてヤマユリ (山百合)L. auratum,ササユリ (笹百合)L. japonicum,テッポウユリ (鉄砲百合)L. longiflorum,オニユリ (鬼百合)L. lancifolium,クルマユリ (車百合)L. medeoloides,スカシユリL. maculatumなどがあり,それぞれの種から多くの園芸品種がつくられている。特にテッポウユリは花卉として花屋に最も普通にみられ,Easter lilyとして輸出もされている。
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報