ヤーン=テラー効果(読み)ヤーン=テラーこうか(英語表記)Jahn-Teller effect

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ヤーン=テラー効果」の意味・わかりやすい解説

ヤーン=テラー効果
ヤーン=テラーこうか
Jahn-Teller effect

直線状の分子を除くすべての多原子分子において,原子が高い対称性をもつ幾何学的配置をとろうとすると,電子状態縮退することがある。このような状態は一般に不安定であり,より低い対称性の配置になり,縮退を解いた状態の分子のほうがエネルギー的に安定になる。これをヤーン=テラー効果という。この効果によって生じる安定な状態がいくつか存在する場合,あるいはこの効果によるエネルギー差が振動のエネルギーと同程度の場合には,核の運動による動的効果が現れる。これを動的ヤーン=テラー効果という。これに対して,前述のものを静的ヤーン=テラー効果という。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

脂質異常症治療薬

血液中の脂質(トリグリセリド、コレステロールなど)濃度が基準値の範囲内にない状態(脂質異常症)に対し用いられる薬剤。スタチン(HMG-CoA還元酵素阻害薬)、PCSK9阻害薬、MTP阻害薬、レジン(陰...

脂質異常症治療薬の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android