ヤンマ
やんま / 蜻蜓
昆虫綱トンボ目ヤンマ科Aeschnidaeの昆虫の総称。広義にはオニヤンマ科、ムカシヤンマ科を含め、ときに大形のサナエトンボ科の種類もそのようによぶことがある。狭義のヤンマ科の種類は、一般に体長60ミリメートル以上の大形昆虫で、複眼は背面で広く相接着し、その後方に小さい三角形の後頭背面部を残す。下唇の中片には裂け目はないが、中央に1対の小突起がある。腹節側縁には一般に側稜(りょう)があり、雌の第8、第9腹節には産卵管が発達する。前翅(ぜんし)と後翅の三角室はほぼ同形で翅端方向に長く、また雄の後翅肛角(こうかく)は突出する。
ヤンマ科の代表はギンヤンマAnax parthenope juliusであるが、平地の池沼種であるため環境破壊によって著しく減少した。この種には海洋飛来性があり、熱帯産のオオギンヤンマとともに北上飛来し、とくにギンヤンマは北海道東部まで達する。ルリボシヤンマAeschna junceaは北方種であるが、関西地方、四国、九州では山地の池沼に限られる。カトリヤンマGynacantha japonicaは成虫の未熟の時代には薄暮と薄明に地表を群飛して摂食する。サラサヤンマOligoaeschna pryeriは小形種で低山地の湿地に育ち、5~6月ごろ短期間現れるが、本科のうち原始的なものと考えられる。アオヤンマ、ネアカヨシヤンマ、ヤブヤンマ、マルタンヤンマなどは平地種で、ごく小さい水域にも育つが、生息地の都市化によって全国的に著しく減少した。コシボソヤンマBoyeria maclachlaniとミルンヤンマは幼虫時代流水性で、前者は山麓(さんろく)地帯に、後者は山間の渓流に育つ。日本産のヤンマ科昆虫は琉球(りゅうきゅう)諸島のものを加えれば21種あり、いずれもよい環境の指標昆虫となるものである。
[朝比奈正二郎]
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ヤンマ (蜻蜓)
狭義にはトンボ目ヤンマ科の昆虫の総称,広義にはさらにオニヤンマ科,ムカシヤンマ科,大型のサナエトンボ科の種を含む大型のトンボ類の俗称として用いられる。ヤンマ科Aeschnidaeのトンボは一般に体長60mm以上と大型で,左右の複眼は背面で広くくっついている。下唇の中片には裂け目はないが,中央に1対の小突起がある。雌の第8,9腹節腹面には産卵管が発達している。前・後翅の三角室はほぼ同形で翅端の方向に長い。
ヤンマ科の日本産は21種あり,ギンヤンマがふつうに知られている。本種は海洋飛来性があり,熱帯産のオオギンヤンマとともに北上飛来し,ギンヤンマは北海道東部にまで達する。北日本に多いルリボシヤンマAeschna junceaは北半球に広く分布し,日本はその分布の南限で四国,九州まで達し,山地の池沼に見られる。サラサヤンマOligoaeschna pryeriは小型種で低山地の湿地に生息する原始的なヤンマである。アオヤンマ,ネアカヨシヤンマ,ヤブヤンマ,マルタンヤンマなどは平地にすみ,小さい水域にも育つが,現在は都市化による自然破壊で著しく減少した。山間の渓流にはミルンヤンマが育つ。これらのヤンマ類は環境の指標昆虫として役だつ。
執筆者:朝比奈 正二郎
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ヤンマ
トンボ目ヤンマ科およびオニヤンマ科の昆虫の総称。大型種ばかりで,体長50mm以下の種類はいない。複眼は著しく大きく左右相接する。どれも静止するときは小枝などに下垂する。水辺や林間を往復するもの,薄暮に活動するものなどがある。若虫は成虫になるのに数年を要する。日本にはヤンマ科はギンヤンマ,カトリヤンマなど22種,オニヤンマ科はオニヤンマなど5種がいる。オニヤンマ科のうちミナミヤンマ類は独立の科として扱う立場がある。
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ヤンマ
Aeschnidae; darner
トンボ目ヤンマ科に属する昆虫の総称。一般に大型のトンボで,美しい色彩の種が多く,強大な飛翔力をもつ。複眼は一線をもって左右が相接し,下唇中片の中央に1対の小突起がある。翅は,前後とも三角室は横長で翅端方向に長く,中に小横脈がある。雄の後翅肛角が突き出る。雌は発達した産卵管をもち,普通植物組織内に産卵する。オニヤンマ科,ムカシヤンマ科,サナエトンボ科などと近縁で,日本にはギンヤンマなど約 20種が知られる。 (→トンボ類 )
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