ヤラドゥア(英語表記)Yar'Adua, Umaru Musa

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ヤラドゥア」の意味・わかりやすい解説

ヤラドゥア
Yar'Adua, Umaru Musa

[生]1951.8.16. カチーナ
[没]2010.5.5. アブジャ
ナイジェリアの政治家。大統領(在任 2007~10)。フルベ族フラニ族)の上流家系に生まれた。一家は政界で名高く,父は第1共和制(1960~66)で閣僚を務め,兄は 1976~79年の軍事政権に参加した。ザリアのアーマドゥ・ベロ大学に学び,1975~83年に大学教員を務めたのち,企業経営に携わった。1991年カチーナ州知事選挙に立候補したが落選。1999年再び立候補し当選,2003年に再選された。州の社会経済的発展に尽力したほか,前知事から引き継いだ膨大な債務を完済したうえ州財政を 5000万ドルの黒字に転換した。2006年,オルセグン・オバサンジョ大統領から 2007年の大統領選挙の国民民主党候補に指名され,選挙では有力な軍部指導者や政治家を相手に得票率 70%で圧勝した。しかし有権者への脅迫や票の不正操作が報告され,国内外からは厳しく批判された。ヤラドゥアはオバサンジョ大統領が手がけた開発事業の続行,ニジェール川デルタ地域の紛争収拾,構造的汚職への対策といった大きな課題に立ち向かった。2009年11月末にサウジアラビア心臓・腎臓疾患を治療以後,健康上の不安が問題となった。2010年2月,議会不在のヤラドゥアに代わってグッドラックジョナサン副大統領が代行を務めるよう議決。ヤラドゥアは同年 2月24日に帰国したが,健康は回復せず,ジョナサンに代行をゆだねたまま死亡した。

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