ヤマウルシ(読み)やまうるし

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ヤマウルシ」の意味・わかりやすい解説

ヤマウルシ
やまうるし / 山漆
[学] Toxicodendron trichocarpum (Miq.) Kuntze
Rhus trichocarpa Miq.

ウルシ科(APG分類:ウルシ科)の落葉高木。高さ8メートルに達する。葉は枝先近くに傘状に集まって互生し、奇数羽状複葉で長さ約50センチメートル。小葉は3~5対、卵状長楕円(ちょうだえん)形で長さ5~10センチメートル、全縁または不ぞろいに浅く切れ込む鋸歯(きょし)があり、葉軸とともに軟毛がある。芽立ち時は赤色を帯び、秋の紅葉は鮮やかである。雌雄異株。5~6月、円錐(えんすい)花序を腋生(えきせい)し、多数の黄緑色花を開く。雌、雄花とも、萼片(がくへん)、花弁各5枚。雄花は雄しべが5本、雌花は退化した雄しべ5本と、柱頭が3裂する雌しべが1本ある。核果は扁球(へんきゅう)形で径5~6ミリメートル、黄褐色の毛が密生する。山地の疎林内に生え、北海道から九州、千島列島南部、朝鮮半島、中国に分布。ウルシに似るが、ウルシは葉の毛が少なく、果実に毛がない。ウルシ同様、漆液ができるが、収量は少ない。

[古澤潔夫 2020年9月17日]

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百科事典マイペディア 「ヤマウルシ」の意味・わかりやすい解説

ヤマウルシ

ウルシ

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世界大百科事典(旧版)内のヤマウルシの言及

【ウルシ(漆)】より

…樹皮を傷つけ漆をとるほか,材は細工物とし,果実から良質の木蠟がとれ,新芽は可食で強壮剤となる。 近縁のヤマウルシR.trichocarpa Miq.(イラスト)は外見ウルシに似ているが,葉の最下部の1対が他の小葉より小さく,果実は扁歪円形で表に短い刺毛があるので区別できる。日本の特産で北海道,本州,四国,九州に分布する。…

※「ヤマウルシ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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