ヤチダモ(読み)やちだも

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ヤチダモ」の意味・わかりやすい解説

ヤチダモ
やちだも
[学] Fraxinus mandshurica Rupr. Var. japonica Maxim.

モクセイ科(APG分類:モクセイ科)トネリコ属の落葉高木。高さ20~30メートル。樹皮灰白色で浅く縦裂し、枝は太い。葉は対生し、奇数羽状複葉で長さ約40センチメートル、葉柄の基部は膨らむ。小葉は7~11枚で狭長楕円(だえん)形、先はとがり、縁(へり)に鋸歯(きょし)がある。小葉は無柄、葉軸につくところに赤褐色の軟毛が密生する。雌雄異株。4~5月、新葉とともに側芽から円錐(えんすい)花序を出し、花弁のない細かい花を多数つける。翼果は下垂し、広倒披針(ひしん)形で長さ約3センチメートル、10月に熟する。山間肥沃(ひよく)な湿地に多く生え、岐阜県以北の本州、北海道、樺太(からふと)(サハリン)および朝鮮半島、中国、ウスリーに分布する。材はやや重硬で、建築、家具、運動具、合板などに広く使われ、北海道から材が多く出る。

小林義雄 2021年7月16日]

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リフォーム用語集 「ヤチダモ」の解説

ヤチダモ

モクセイ科トネリコ属の落葉広葉樹環孔材英名はJapanese ash。単にタモともいう。やや重硬で、加工性や割裂性、表面仕上げにおいては並であるが、弾力性が高い。家具や装飾材、日常器具の材料として使用されているほか、ベニヤ材、土木材などの合板材料にも用いられる。

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世界大百科事典(旧版)内のヤチダモの言及

【トネリコ】より

…栃木県から宮崎県に至る太平洋側の温帯山地の湿潤地にときに純林をつくる。ヤチダモF.mandshurica Rupr.var.japonica Maxim.は高さ25mになり,小葉は7~11枚と多い。本州長野県以北,北海道,サハリンおよび朝鮮半島,中国北部からウスリー地方までの河岸や湿地付近の肥沃地に純林をつくる。…

※「ヤチダモ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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