精選版 日本国語大辞典 「ヤコブセン」の意味・読み・例文・類語
ヤコブセン
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デンマークの作家。北ユトランドの港町ティステズの商家に生まれる。自然科学と文学に興味を覚え,学生時代植物学を専攻。淡水藻類の研究論文では金メダルを取る。《新デンマーク月刊》(1870-74)には自然科学者として執筆し,別にダーウィンの主要著書を翻訳して紹介に貢献した。その後,胸を病んで文学にのみ専心し,処女作《モーンス》(1872)を発表,一時代を画して自然主義文学の先達となる。すでに信仰上の違いから恋人とも決別し,〈キリスト教は一つの神話〉との言葉をもらしており,G.ブランデスを中心とする文学会に参加して新しい自由思想を作品に織り込む。長編《マリエ・グルッペ》(1876)は17世紀に実在した女性の一生を描いた人間の性の問題を,次の《ニールス・リーネ》(1880)では無神論のもつ問題をテーマとする。ほかに短編《ペルガモのペスト》(1881),《フェンス夫人》(1882)などがある。その繊細で優美な文体は,現代デンマーク文学が誇りうる最高の美文とみなされている。
執筆者:岡田 令子
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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