モンカゲロウ(読み)もんかげろう

日本大百科全書(ニッポニカ) 「モンカゲロウ」の意味・わかりやすい解説

モンカゲロウ
もんかげろう / 紋蜉蝣
[学] Ephemera strigata

昆虫綱カゲロウ目モンカゲロウ科に属する昆虫。大形のカゲロウで、幼虫は河川中流にすみ、成虫はその沿岸にみられるが、上流へも飛ぶ。体長前翅(ぜんし)長とも16ミリ内外。体は黄褐色で、雄の頭部は黒褐色胸部は暗褐色、腹部は黄褐色で腹部背板の左右に黒褐色の斜条がある。はねは暗黄色透明で、前翅は幅広く、翅脈が発達しており、褐色の横帯紋が中央部前方にある。尾は3本、また雄尾端の把握器は3節。幼虫は流水中の砂泥に潜っており、長円筒形で、大あごは鋭く、長い牙(きば)状となり、外側上方に曲がる。触角には長毛が生え、えらは羽毛状で腹上に並べて置く。尾肢はほぼ等長の3本で、細毛を密に並べる。北海道、本州に分布し、晩春夕刻に一斉に羽化し、群飛する。モンカゲロウ科Ephemeridaeのカゲロウは、日本からほかに2種が知られている。

[山崎柄根]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「モンカゲロウ」の意味・わかりやすい解説

モンカゲロウ
Ephemera strigata

カゲロウ目モンカゲロウ科。大型のカゲロウで,成虫は体長 16mm内外。黄褐色の体に暗黄色透明の翅をもつ。前翅の幅は広く,発達した翅脈と褐色で比較的大きな横帯紋がある。腹背各節にそれぞれ1対の黒褐色の斜条があり,腹端には3本の尾毛をもつ。雄の腹端にある把握器は3節。幼虫は長円筒形,乳白色でやや赤みを帯び,羽毛状の鰓を腹背に並べ,河川流水中の砂泥にもぐって生活している。砂中を進むため脚が短く,また大顎は発達し長い牙状となっている。晩春,成熟すると夕方一斉に羽化しだし,川面上を飛翔する。北海道と本州に分布する。日本には他に近縁種が2種ある。 (→カゲロウ類 )

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のモンカゲロウの言及

【カゲロウ】より

…カゲロウ目Ephemeropteraに属する昆虫の総称(イラスト)。モンカゲロウ,ヒラタカゲロウなど数科に分類され,多くの種類がある。しかし古くはトンボ類の古名で,著名な《蜻蛉日記》などでも知られる。…

※「モンカゲロウ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

脂質異常症治療薬

血液中の脂質(トリグリセリド、コレステロールなど)濃度が基準値の範囲内にない状態(脂質異常症)に対し用いられる薬剤。スタチン(HMG-CoA還元酵素阻害薬)、PCSK9阻害薬、MTP阻害薬、レジン(陰...

脂質異常症治療薬の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android