モザイク病(読み)モザイクびょう(英語表記)mosaic(disease)

精選版 日本国語大辞典 「モザイク病」の意味・読み・例文・類語

モザイク‐びょう ‥ビャウ【モザイク病】

〘名〙 植物病気の一つ。ウイルス感染によって起こる。概して葉は黄白色の多少隆起した斑を生じ、全体にモザイク状となり、葉縁波状に縮れる。ひどくなると葉は奇形を呈して萎縮し、植物体全体も萎縮してやがて枯死する。

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デジタル大辞泉 「モザイク病」の意味・読み・例文・類語

モザイク‐びょう〔‐ビヤウ〕【モザイク病】

植物にウイルスが寄生し、葉にモザイク状の斑ができ、縮れる病害タバコダイコンキュウリインゲンなどに多く発生。アブラムシが媒介するといわれる。

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改訂新版 世界大百科事典 「モザイク病」の意味・わかりやすい解説

モザイク病 (モザイクびょう)
mosaic(disease)

植物ウイルスに侵された植物において最も普通にみられる病気で,葉に部分的な退緑部または黄色部が現れ,濃緑色部と混じり合ってモザイク模様の病徴を示す。しばしば株全体の萎縮や糸葉など葉の奇形を伴う。チューリップのように花の斑入りが現れるものもある。温度・光・栄養条件の変化で病徴の消失することをマスキングという。退緑部では柵状組織や葉緑体の発達が悪い。タバコ,キュウリ,ダイコンなどの作物,ラン,キクカーネーションなどの園芸植物で多数発生し,収量減や品質の低下をもたらす。ツユクサオオバコなど路傍の雑草にも発生がみられる。病原ウイルスの多くはアブラムシによって媒介され,また農具や指先についた汁液で伝染する。種子,栄養繁殖用の苗や球根,土壌によって伝染するものもある。防除法としては病株や雑草の除去,アブラムシの駆除無病の種子や苗,球根の利用などがある。
タバコモザイクウイルス
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「モザイク病」の意味・わかりやすい解説

モザイク病
もざいくびょう
mosaic

作物の葉、とくに新葉に濃緑色の部分と淡緑色あるいは黄緑色の部分がモザイク状に現れる病気。病原はウイルスで、植物がウイルスに侵されると、感染細胞では細胞内成分の異常がおこり、葉緑体の小形化、数の減少、デンプンの蓄積、空胞化、ラメラ構造が乱れ崩壊する。このような細胞の異常がおこった部分が淡緑色から黄緑色を呈するため、モザイク症状になるもので、ウイルスによる植物の病気の特徴の一つになっており、モザイク症状の顕著に現れるものをモザイク病と称している。多くの場合、モザイク症状のほかに萎縮(いしゅく)症状を伴い、草丈が小さくなる。モザイク病は多くの作物に発生し、とくにマメ類、野菜類、花類で被害が大きい。病原ウイルスの種類も多く、キュウリモザイクウイルス、タバコモザイクウイルスのように多くの植物を侵すものや、マメ類のモザイクウイルスのように比較的寄主範囲の狭いものもある。

[梶原敏宏]

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百科事典マイペディア 「モザイク病」の意味・わかりやすい解説

モザイク病【モザイクびょう】

ウイルスによる植物病の一種。おもに葉に病徴が現れ,ときには茎,花柄,花弁,果実などの色素体に異常を生ずる。部分的に退色するため黄〜黄緑色の部分と濃緑色の部分とができて,モザイク状を示す。トマト,タバコ,ジャガイモ,ハクサイ,カブなどのモザイク病があり,アブラムシにより媒介されることが多い。そのほかイネ科植物などではモザイク状にはならず条斑をなすことが多い。また,チューリップなどは花に斑入(ふいり)を生ずる。品種の選定,アブラムシの駆除,病株の廃棄などにより防除。
→関連項目カリフラワーモザイクウイルスキュウリモザイクウイルス植物ウイルス病タバコモザイクウイルス

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「モザイク病」の意味・わかりやすい解説

モザイク病
モザイクびょう
mosaic disease

ウイルス感染によって起る植物の病気。葉に斑が出て,生長を阻害され,しばしば葉が奇形を呈する。アブラムシで媒介されるので,この駆除が対策となる。タバコ,トマト,アズキなどに多い。タバコモザイクウイルスは,初めて結晶として単離されたウイルスとして有名。

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