メヘテルハーネ

百科事典マイペディア 「メヘテルハーネ」の意味・わかりやすい解説

メヘテルハーネ

トルコの大規模な伝統的軍楽隊オスマン帝国時代に発展し,特に勇猛果敢な軍隊とともに西欧に知られ,いわゆるトルコ行進曲西洋ブラス・バンドを生むきっかけとなった。管・打楽器に加え,歌が付くのが特徴。最盛期の17世紀には,スルタン所有の軍楽隊は12管編成の大規模なものであった。いちばん大切で象徴的な太鼓ケス(ティンパニーの祖)の大型のものは,ラクダや象の背に乗せたという。オスマン・トルコの軍楽はメヘテル。
→関連項目ズルナ

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

世界大百科事典(旧版)内のメヘテルハーネの言及

【軍楽隊】より

…11~13世紀にトルコと戦った十字軍によってもたらされた情報で,各種の打楽器・管楽器を多用するトルコ軍楽への関心が高まり,従来のドラム隊に横笛を加えた〈鼓笛隊〉が設置されたり,クラリネットの前身となったシャルマイが使用されるといった動きが見られる。 1521年に始まるオスマン帝国のヨーロッパ侵攻によって,ヨーロッパ諸国はトルコの〈イエニチェリ〉軍団に席巻され,その軍楽隊〈メヘテルハーネmehterhane〉とその演奏に強烈な印象を受けた。ことにウィーンは1529年と1683年の2回,トルコ軍に包囲され,直接メヘテルハーネを耳にした。…

【トルコ音楽】より

…黒海地方には特に3弦の小型弓奏楽器ケメンチェ(カマーンチェ)やバッグパイプのトゥルムがある。(2)軍楽 伝統的な楽器や衣装をつけたトルコの軍楽隊のことをメヘテルハーネという。オスマン帝国で発展し,勇猛な軍隊とともに西欧に知られ,いわゆるトルコ行進曲やブラスバンドを生むきっかけとなった。…

【ノーバト】より

…それ以上に施政者の威厳と支配権を領内にあまねく知らしめるという象徴的な機能をも果たした。かつてイスラムの影響が及んだ地域(北アフリカから東南アジアまで)に広く存在し,ノーバトの呼称以外に,ノーバト・ハーネ,タブル・ハーネ(インド,パキスタン),ナッカーレ・ハーネ(イラン),メヘテル・ハーネ(トルコ)などとも呼ばれた。 なおアラビア語でナウバは〈順番〉を意味するが,中世アラブ世界の室内の古典音楽の大規模な合奏形式をも意味し,今日でもマグリブ地方ではその伝統が生きている。…

※「メヘテルハーネ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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