メフィストフェレス(英語表記)Mephistopheles

翻訳|Mephistopheles

精選版 日本国語大辞典 「メフィストフェレス」の意味・読み・例文・類語

メフィストフェレス

(Mephistopheles) 一五~一六世紀頃ドイツで生まれたファウスト伝説中の悪魔ゲーテの「ファウスト」では、人生を体験し尽くそうとする主人公ファウストと魂をかけた契約をする、悪への誘惑者として登場メフィスト

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「メフィストフェレス」の意味・読み・例文・類語

メフィストフェレス(Mephistopheles)

ドイツのファウスト伝説およびゲーテの「ファウスト」に登場する悪魔。ファウストに魂を売る契約をさせ、その代償として地上快楽を得させるために奉仕する。メフィスト。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「メフィストフェレス」の意味・わかりやすい解説

メフィストフェレス
Mephistopheles

ゲーテの《ファウスト》に登場する悪魔。メフィストと略称される。中世の民衆本ではメフォストフィレスMephostophilesの名で呼ばれており,一般にヘブライ語の〈mephis(破壊する者)〉と〈tophel(惑わす者)〉との合成語,もしくは〈善の破壊者〉の意のmephostophielが語源と考えられているが,正確なことは不明。試練を与える者または誘惑者として悪を行いはするが,絶対的な悪の体現者ではなく,ゲーテの定義では〈つねに悪を欲して善をなす力の一部〉。ファウストとメフィストフェレスの間の契約の場面は,《ヨブ記》1章6~12節のサタンのそそのかしによるヨブに対する神の試練の場面を下敷きにしている。メフィストフェレスを主題にした作品としては,ほかにドラクロアの石版画(1828),A.ボーイト作曲のオペラ《メフィストーフェレ》(1868初演)が有名。
ファウスト
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「メフィストフェレス」の意味・わかりやすい解説

メフィストフェレス
めふぃすとふぇれす
Mephistopheles

15、16世紀ドイツのファウスト伝説およびそれを素材にしたゲーテの『ファウスト』に登場する悪魔。主人公ファウストが、地上の快楽を体験し尽くす代償として、魂を売った相手。悪の誘惑者。

[編集部]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「メフィストフェレス」の意味・わかりやすい解説

メフィストフェレス
Mephistopheles

ドイツのファウスト伝説に現れる悪魔の名前で,1587年に出版された「ファウスト流布本」 Faustbuchのなかではメフォストフィレス Mephostophilesと呼ばれている。ゲーテは戯曲ファウスト』のなかで,ファウストと契約し魂と交換に魔法の力でファウストの欲望を満たし,最後に破滅させてしまうという中世の通俗的なメフィストフェレス像を文学的に掘下げ,さらに人間臭い世慣れた如才なさ,シニカルな機知に富んだ性格を与えている。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

百科事典マイペディア 「メフィストフェレス」の意味・わかりやすい解説

メフィストフェレス

メフィストとも。ファウスト伝説に登場する悪魔。語義については諸説ある。ゲーテはその《ファウスト》においてこの悪魔に皮肉,機知,風刺の才など幾多の魅力ある特性を与え〈悪を欲して善をなす〉存在に仕立てている。

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

とっさの日本語便利帳 「メフィストフェレス」の解説

メフィストフェレス

ゲーテの詩劇『ファウスト』で、ファウスト博士が天地の真理と引き換えに魂を売り渡す悪魔の名。一般に悪魔的人物、誘惑者の意。ファウストは、ドイツ伝説上の魔術師。

出典 (株)朝日新聞出版発行「とっさの日本語便利帳」とっさの日本語便利帳について 情報

世界大百科事典(旧版)内のメフィストフェレスの言及

【ファウスト】より

…ゲーテのファウスト劇は1773年の《ウルファウスト》をもって始まり,90年に《ファウスト断片》として引き継がれ,《ファウスト》第1部は1808年に出版された。ここではファウストはメフィストフェレスMephistophelesの魔術の力を借りて若がえり,清純な庶民の娘グレートヒェンGretchenを誘惑し,生まれた子どもとともに彼女を捨ててしまう。嬰児殺しの罪でグレートヒェンはファウストの名を呼びながら死刑に処せられるが,悔悟によって堕地獄から救われる。…

【悪魔】より

…地方的な伝説や民俗伝承のなかのキリスト教以前の妖術師や魔術師が,キリスト教的解釈によって装いも新たに悪魔として蘇る場合もある。悪魔と契約して地獄に堕ちるファウストも,その誘惑者メフィストフェレスも,先行する古代伝説の中世的再話である。 悪魔との契約はしばしば性的妄想に結びついた。…

【ニワトリ(鶏)】より

…さらに,鶏が収穫の際にいけにえにされたり,結婚式の花嫁馬車にのせられたり,新床に入れられたりする習俗は,鶏のもつ多産性と結びつく豊饒(ほうじよう)儀礼の一種とみなすことができよう。一方,黒い鶏は悪魔の動物とされることがあり,ゲーテ《ファウスト》のメフィストフェレスのように,しばしば悪魔は黒い鶏の羽を1本つけた姿で登場する。【谷口 幸男】。…

【ファウスト】より

…ゲーテのファウスト劇は1773年の《ウルファウスト》をもって始まり,90年に《ファウスト断片》として引き継がれ,《ファウスト》第1部は1808年に出版された。ここではファウストはメフィストフェレスMephistophelesの魔術の力を借りて若がえり,清純な庶民の娘グレートヒェンGretchenを誘惑し,生まれた子どもとともに彼女を捨ててしまう。嬰児殺しの罪でグレートヒェンはファウストの名を呼びながら死刑に処せられるが,悔悟によって堕地獄から救われる。…

【耳】より

…ヤハウェがつくった最後の悪魔ビヒモスは象のような耳と顔貌をもつ醜形で,自身もあきれるほどだった。メフィストフェレスの耳はロバのようであり,シェークスピア《夏の夜の夢》のパックたちはとがった長い耳をもつ。日本でも般若の耳は耳介結節よりも上部の耳輪の一部がとがっている。…

※「メフィストフェレス」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

脂質異常症治療薬

血液中の脂質(トリグリセリド、コレステロールなど)濃度が基準値の範囲内にない状態(脂質異常症)に対し用いられる薬剤。スタチン(HMG-CoA還元酵素阻害薬)、PCSK9阻害薬、MTP阻害薬、レジン(陰...

脂質異常症治療薬の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android