メグスリノキ(読み)めぐすりのき

日本大百科全書(ニッポニカ) 「メグスリノキ」の意味・わかりやすい解説

メグスリノキ
めぐすりのき / 目薬木
[学] Acer maximowiczianum Miq.
Acer nikoense Maxim.

カエデ科(APG分類:ムクロジ科)の落葉高木。葉は対生し、3出複葉で、2~3センチメートルの葉柄がある。小葉は長楕円(ちょうだえん)形で長さ7~15センチメートル、幅3~7センチメートル、縁(へり)の上半部に波状の鈍鋸歯(どんきょし)がある。葉柄、葉裏に毛が多い。冬芽の鱗片(りんぺん)は8~15対。雌雄異株。5月ころ、散形状総状花序をつくり、緑色を帯びた淡黄白色の小花を3~5個開く。萼片(がくへん)、花弁はともに6枚、雄しべは12本。果実は2翼があり、堅い毛が多く、秋に熟す。温帯山地に生え、宮城県以南の本州から九州に分布する。樹皮は煎(せん)じて洗眼薬とする。名は、これに由来するが、別名チョウジャノキ(長者木)ともいう。朝鮮半島から中国に、マンシュウカエデA. mandshuricum Maxim.など近縁種が4種分布する。

緒方 健 2020年9月17日]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内のメグスリノキの言及

【カエデ(楓)】より

…園芸品種も多い。 以上のほかに日本には3出複葉をもつミツデカエデA.cissifolium (Sieb.et Zucc.) K.Koch(本州,四国,九州に分布)およびメグスリノキA.nikoense Maxim.(同),早春の花が美しいオニモミジA.diabolicum Bl.ex K.Koch(同),葉がアサの葉に似たアサノハカエデA.argutum Maxim.(本州,四国),山中の湿地によくみられるカラコギカエデA.aidzuense (Franch.) Nakai(北海道~九州)などがある。 カエデ属Acerは北半球の温帯を中心に約160種が分布し,街路樹や庭園樹として賞用されるほか,大木になるものには有用材を産出するものも多い。…

※「メグスリノキ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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