日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
メイ(Lev Aleksandrovich Mey)
めい
Лев Александрович Мей/Lev Aleksandrovich Mey
(1822―1862)
ロシアの詩人。モスクワの零落した貴族の出身。本格的な詩作活動は1850年代からで、初期の詩には、装飾美を誇示し、自由な芸術を謳歌(おうか)する純粋芸術派の傾向が著しいが、のちに社会的矛盾や「小さな人々」に対する鋭い関心や共感を示す詩も書いた。多様な詩才を発揮した叙情詩のなかで目だつのは、繊細な捕捉(ほそく)しがたい心の動き、心理的ポートレートの複雑さを微妙に伝え、グリンカ、チャイコフスキー、ボロディン、ムソルグスキーなどによってポピュラーな歌曲になったロマンスである。ほかに、ロシア史とフォークロアに取材し、オペラにもなった劇詩『プスコフの娘』(1849~59)、『皇帝の花嫁』(1849)が有名。
[島田 陽]