日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
ムーニエ(Emmanuel Mounier)
むーにえ
Emmanuel Mounier
(1905―1950)
フランスの哲学者。グルノーブルに生まれる。グルノーブルとソルボンヌ(パリ大学)の両大学に学んだが、その間詩人・思想家ペギーに傾倒し、その研究書を刊行した。1932年に雑誌『エスプリ』を創刊、第二次世界大戦中は発禁処分を受けて中断し、地下に潜ってレジスタンス運動に加わった。1944年終戦とともに、雑誌を再刊して健筆を振るった。彼の思想的立場はペルソナリスム(人格主義)であり、それをまとまった形で述べているのが『人格主義とは何か』(1947)および『人格主義』(1949)である。彼が「ペルソンヌ(人格)」とよんでいるものは、自由にして、かつ創造的な人間、けっして客体化されない主体的人間のあり方を意味し、その点で「実存」とほぼ同じ概念と解してよかろう。
[西村嘉彦 2015年6月17日]
『E・ムーニエ著、竹下春日訳『実存主義案内』(1964・理想社)』▽『木村太郎・松浦一郎・越知保夫訳『人格主義』(白水社・文庫クセジュ)』▽『池長澄著『エマニュエル・ムゥニエ』(澤瀉久敬編『現代フランス哲学』所収・1968・雄渾社)』
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