ムレスズメ(英語表記)Caragana sinica Rehd.

改訂新版 世界大百科事典 「ムレスズメ」の意味・わかりやすい解説

ムレスズメ
Caragana sinica Rehd.

中国原産のマメ科落葉低木で,観賞のため庭園に栽培される。高さ1~2m,枝は無毛で,節にとげがあり,葉を互生する。葉は羽状複葉で,4小葉がある。葉軸は先端に針状突起があり,小葉が落ちても残存してしだいに木質化し,長さ1~1.5cmのとげとなる。小葉は倒卵形で,上部の1対は下部のものよりも大きく,長さ1~3cm,幅5~10mm,無毛,先は丸いかややへこむ。托葉葉柄の基部につき,針状で太い中肋があり,後に木質化して長さ5~10mmの鋭いとげに変わる。花は黄色の蝶形花,葉腋(ようえき)に1個つき,長さ2.5~3cm,花柄は萼の基部下側につく。花期は5~6月。おしべは10本で,花糸の基部は合着している。果実は長さ3~3.5cm,幅約5mm,無毛。和名は多数の花が枝に咲いているようすをスズメが群れている姿に見立てたもの。

 ムレスズメ属Caraganaは中央アジアから中国大陸の乾燥地に約50種が分布し,ムレスズメ以外にも数種が栽植される。栽培は日当りのよい乾燥地が適し,繁殖株分け,取木あるいは接木によるが種子でも可能である。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ムレスズメ」の意味・わかりやすい解説

ムレスズメ
むれすずめ / 群雀
[学] Caragana sinica (Buc'hoz) Rehder
Caragana chamlagu Lam.

マメ科(APG分類:マメ科)の落葉低木。高さ1~2メートル。小枝稜角(りょうかく)があり、株立ち状になる。葉は偶数羽状複葉で、長枝には互生、短枝には束生する。小葉は4枚、長楕円(ちょうだえん)形で長さ2~2.5センチメートル、縁(へり)に鋸歯(きょし)はない。古い葉軸はじょうぶな刺(とげ)になって残る。4月、葉腋(ようえき)に長さ2.5~3センチメートルの黄色の蝶形花(ちょうけいか)が下向きに1~2個開く。花はのちに淡紅色を帯び、萼(がく)は筒状で先が浅く5裂する。名は、花のつき方を、雀(すずめ)が群れているようすに例えたものである。中国北部原産で、日本へは江戸時代に渡来し、庭木盆栽、いけ花に使われる。繁殖は実生(みしょう)、挿木、株分けによる。

小林義雄 2019年11月20日]


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