ミーワッシュ(読み)みーわっしゅ(英語表記)Czesław Miłosz

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ミーワッシュ」の意味・わかりやすい解説

ミーワッシュ
みーわっしゅ
Czesław Miłosz
(1911―2004)

リトアニア生まれのポーランド系アメリカ作家。第二次世界大戦中、ワルシャワで対ドイツ・レジスタンス運動に参加、その功績もあって、戦後は社会主義ポーランドの外交官を務める。しかし、1951年に、故郷での輝かしい経歴を捨てて西側に亡命。1960年に渡米し、以降カリフォルニア大学バークリー校に籍を置き、スラブ語教師として教鞭(きょうべん)をとった。1970年にアメリカ国籍取得。この間、評論『囚(とら)われの魂』、政治小説権力奪取』(ともに1953)を発表、西側で大きな反響をよんだ。その他の作品に、詩集『昼の光』(1953)、『詩的論文』(1957)、自伝的小説『イサの谷』(1955)などがある。東側に居を構えていた時代から文筆活動を続けていたが、アメリカに落ち着いてからは、『ポーランド文学史』(1969)、『詩集 1931~1987』(1988)といった自著のほか、ポーランド文学の英訳など、ポーランド文学、文化の英語圏への紹介に積極的にかかわった。自己の数奇な運命題材とする小説、社会主義下の思想の自由などについての卓見は、経験に裏打ちされているだけあって説得力に富み、とくに東西冷戦終結以前には大いに注目を浴びた。1980年ノーベル文学賞受賞。1994年ポーランドに戻り2004年同国で死去

金敷 力]

『工藤幸雄訳『囚われの魂』(1996・共同通信社)』

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