ミツユビカモメ(英語表記)Rissa tridactyla; black-legged kittiwake

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ミツユビカモメ」の意味・わかりやすい解説

ミツユビカモメ
Rissa tridactyla; black-legged kittiwake

チドリ目カモメ科。全長 38~41cm。夏羽(→羽衣)では頭部から胸腹部が白色。冬羽も似ているが,後頭部が灰色になり,黒い横斑がある。背,は灰色で,翼の先端に黒い三角形部分がある。尾は白く,先端の中央部がくの字にやや切れ込む。は黄色,脚は黒灰色。イギリスアイスランドグリーンランド南部からカナダ北部ロシア北部・東部,カムチャツカ半島アリューシャン列島アラスカ半島西部の沿岸島嶼に繁殖分布する。集団繁殖し,海岸の断崖絶壁岩棚部や,場所によっては建物に営巣する。繁殖を終えると,大西洋では西アフリカ,フロリダ半島より北部,太平洋ではカリフォルニア,日本の南西諸島より北部から中緯度地域の海域で越冬する。日本には冬鳥(→渡り鳥)として渡来し,おもに本州中部以北の沿岸から沖合いで生活する。また,夏季にも繁殖年齢に達していない若鳥が,繁殖地へ戻らず北海道知床半島近海で暮らしている。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ミツユビカモメ」の意味・わかりやすい解説

ミツユビカモメ
みつゆびかもめ / 三趾鴎
kittiwake
[学] Larus tridactylus

鳥綱チドリ目カモメ科の海鳥。カモメ類のなかではもっとも外洋性の種である。北太平洋北大西洋の北部の寒冷海域に分布し、断崖(だんがい)の岩棚に営巣する。全長約41センチメートル。後趾(こうし)が退化し前趾3本だけになったのでこの名でよばれる。断崖営巣に伴って、ほかの地上営巣性のカモメ類とは異なった一連の行動特性を発達させた。

[長谷川博]

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