ミグ25亡命事件(読み)ミグにじゅうごぼうめいじけん

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ミグ25亡命事件」の意味・わかりやすい解説

ミグ25亡命事件
ミグにじゅうごぼうめいじけん

ソビエト連邦空軍の操縦士がミグ MiG-25戦闘機(→ミグ戦闘機)で日本領空を侵し,日本当局にアメリカ合衆国への政治亡命を求めて保護を願い出た事件。1976年9月6日,ソ連空軍のビクトル・ベレンコ中尉が,最新鋭戦闘機に乗って北海道の函館空港に強行着陸し,アメリカへの亡命を希望。高性能機の秘密が関心の的となり,ソ連はベレンコ中尉の身柄機体の即時引き渡しを要求した。しかし日本側は,ベレンコ中尉のアメリカ亡命を認め,機体は茨城県の自衛隊百里基地に移し分解,調査したあとソ連に返還した。日本とアメリカによる機体の分解,調査は,ソ連にとって深刻な問題となった。また,同機が日本の防空識別圏に侵入したにもかかわらず,航空自衛隊自動警戒管制組織 BADGEによる索敵をまったく逃れ,函館空港に着陸したことで,日本の防空能力が大きく問われた。

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