ミカン科(読み)みかんか

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ミカン科」の意味・わかりやすい解説

ミカン科
みかんか
[学] Rutaceae

双子葉植物、離弁花類高木低木または草。葉は互生または対生し、単葉、3出複葉または羽状複葉。葉肉内に透明な油点があり、芳香がある。花は両性または単性。萼片(がくへん)、花弁はおのおの5枚であるが、まれに4枚のものもある。雄しべは4~30本。子房は4、5室、各室に1、2個の胚珠(はいしゅ)があるが、多数の胚珠があるものもある。果実は蒴果(さくか)、核果、翼果、またはみかん状果である。熱帯から温帯に150属約900種あり、日本では12属22種が野生するほか、多くのものが栽培される。サンショウ亜科は果実は蒴果で、サンショウ属、マツカゼソウ属、コクサギ属、ゴシュユ属などがあり、薬用としてヘンルーダが栽培される。小笠原(おがさわら)のシロテツ属は日本のみの固有属である。サルカケミカン亜科は核果または翼果をつくり、ミヤマシキミ属、キハダ属などが野生する。ミカン亜科はみかん状果をつくり、ミカン属、ゲッキツ属が野生し、ミカン属、キンカン属、カラタチ属のものが栽培される。

[山崎 敬 2020年10月16日]

 APG分類でもミカン科とされる。この分類によると世界に約160属2000種あり、日本には11属23種が自生する。キンカン属とカラタチ属はミカン属に含むとされることもある。

[編集部 2020年10月16日]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ミカン科」の意味・わかりやすい解説

ミカン科
ミカンか
Rutaceae

双子葉植物ミカン目の1科。全世界の温帯や熱帯に約 150属 1000種がある。大部分常緑の高木または低木であるが,温帯のものには落葉樹や草本もある。乾燥地に適応した種類も多く,とげをもつ低木となっている。また植物体,特に葉に精油を含んでいて独特の芳香をもち香辛料となるものもある。花は4数または5数性で子房は多室に分れる。果実は通常液果であるが乾果で開裂する場合もある。ミカン属 Citrusはいわゆる柑橘類で,果樹として有名なものが多い。

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世界大百科事典(旧版)内のミカン科の言及

【ミカン(蜜柑)】より

…ここでは寛皮性のかんきつ類をミカンとして記述する。いずれもミカン科の常緑果樹で,日本ではウンシュウミカンが代表種となる。
[分類]
 ミカンを含むかんきつ類の分類には異なった意見がある。…

※「ミカン科」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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