マン島(読み)マンとう(英語表記)Isle of Man

精選版 日本国語大辞典 「マン島」の意味・読み・例文・類語

マン‐とう ‥タウ【マン島】

(マンMan) イギリスイングランド北アイルランドの間、アイリッシュ海の中央部にある小島。酪農・牧羊が主産業。気候温暖で、観光保養地毎年、国際的なオートバイレースが行なわれる。主都ダグラス。

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デジタル大辞泉 「マン島」の意味・読み・例文・類語

マン‐とう〔‐タウ〕【マン島】

Isle of Man》英国イングランドアイルランドとの間のアイリッシュ海にある島。英国の自治保護領。首都ダグラス。住民の多くはケルト族のマンクス人。独自通貨マンクスポンドを発行するが、英ポンドも通用する。気候が温暖で、保養地。国際オートバイレースが開かれる。人口8.3万(2021)。モナ島。

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改訂新版 世界大百科事典 「マン島」の意味・わかりやすい解説

マン[島]
Isle of Man

イギリス,グレート・ブリテン島とアイルランド島との間のアイリッシュ海北部に浮かぶ島。古代にはモナピアMonapia島と呼ばれた。南西~北東方向にひし形をなして延び,長さ約50km,面積572km2で人口8万0100(2006)。カンブリア紀粘板岩,砂岩からなる山地が中央に横たわるが,氷食を受けてなだらかで最高峰はスネーフェル山(621m)。温暖な気候を利用して北部と南部の平地では酪農や大麦,エンバクジャガイモの栽培,山地では牧羊が行われる。また海岸の風光にも富むため保養客が多く,観光が重要な産業となっている。マンクス・ツイードなどの軽工業もみられるが,かつての鉛・銅の採掘,ニシン漁業は衰退した。新石器時代からの遺跡が豊富で,9世紀からはバイキング侵入を受け,現在も地名や議会制度にスカンジナビアの影響が残っている。1266年に宗主権ノルウェーからスコットランドに売却され,その後エドワード3世以降はイングランドに属して,ソールズベリー伯,スタンリー家,アソル公が順次統治した。1765年からは王室付属地に編入されている。政治的にはイギリスから独立し,独自の法律,議会(ハウス・オブ・キーズHouse of Keys)を有し,ケルト系マンクス語儀式で用いられる。中心都市ダグラスへはリバプール,ヘーシャムからフェリーの便がある。毎年6月には国際的に有名なオートバイ・レース〈ツーリスト・トロフィーTourist Trophy〉(略称TTレース)が開催される。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「マン島」の意味・わかりやすい解説

マン島
マンとう
Isle of Man

アイリッシュ海北部のほぼ中央にある島。イギリスの統治下にあるが,国王の直轄地として大幅な自治が認められ,独自の議会,法制,行政機構をもつ。行政中心地ダグラス。イングランド,スコットランド,北アイルランドのいずれからもほぼ等距離に位置する北東-南西方向に細長い島で,長さ約 50km,幅約 17km。中央部に粘板岩,砂岩,礫岩などからなる山地があるが,氷河作用の影響でなだらかな山容を示し,最高点はスネーフェル山の 620m。北部と南部には漂礫土に覆われた低地が広がり,重要な農業地帯となっている。古代にはモナ Mona,あるいはモナピア Monapiaと呼ばれ,5世紀以降アイルランドの宣教師たちが来住。 800年頃からノール人の侵入が始まり,その後4世紀以上にわたって支配下におかれたのち,1266年ノルウェー王によりスコットランドに売却され,エドワード3世 (在位 1327~77) の治世にイングランド領となった。歴史時代初期の住民はケルト語派に属する言語を話し,6世紀にはブリソニック語とゴイデリック語の両方が用いられていたが,のちゴイデリック系のマン島語が優勢となり,これがノール人支配時代を経て,19世紀前半まで広く用いられた。低地ではカラスムギ,コムギ,オオムギ,カブ,ジャガイモなどの栽培や市場園芸,酪農,中央山地ではヒツジの放牧,沿岸では漁業が盛んであるが,最も重要な産業は観光で,気候と風光に恵まれ,先史時代の遺跡なども多いため,夏季には約 40万人の観光客が訪れる。オートバイの国際的ロードレース「ツーリストトロフィー」(→マン島TTレース)の開催地として有名。面積 572km2。人口 8万4700(2011推計)。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「マン島」の意味・わかりやすい解説

マン島
まんとう
Isle of Man

イギリス、イングランド北西岸沖合い48キロメートルのアイリッシュ海に浮かぶ島。面積572平方キロメートル、人口7万6315(2001)。中心都市ダグラスDouglas。最高点はスネフェル山の620メートル。氷河時代に氷食を受け、山地は緩やかで、海岸の風光が美しい。年平均気温8.1℃、年降水量1146ミリメートルと気候も温和であるうえ、石器時代の遺跡や古城が多く、観光地となっている。全島の70%は耕地で、オート麦、ジャガイモなどがつくられ、酪農や牧羊も盛んである。

 古くからケルト人の居住地で、800年ごろノール人(バイキング)の侵入を受け、1266年までノルウェーに所属した。同年スコットランドに売却されるが、エドワード3世(在位1327~77)以降はイギリス人が支配した。しかしイギリス王領となったのは1765年で、1828年以後はイギリス内務省の管轄下で自治政府をもつ王領地となった。政治的には独立性が強く、二院制の議会があり、独自の法律や行政機構をもつ。ケルト系の住民が多く、19世紀まではゲール語(マンクス語)が話されていたが、今日では話し手はほとんどいなくなった。毎年この島で開かれるオートバイの国際レース「TTレース」(Tourist Trophy)が有名である。

[小池一之]

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