マンネンタケ(読み)まんねんたけ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「マンネンタケ」の意味・わかりやすい解説

マンネンタケ
まんねんたけ / 万年茸
[学] Ganoderma lucidum (Fr.) Karst.

担子菌類、サルノコシカケ目マンネンタケ科のキノコレイシ(霊芝)、サイワイタケ(幸菌)、サキクサ(福草)、カドデタケ(門出茸)などの名もある。傘は普通、腎臓(じんぞう)形で、へこんだ部分に茎がつくが、円い傘では中央部につく。傘は幅5~15センチメートル、厚さ1センチメートル内外、上面は硬い殻皮をかぶり、表面は赤褐色ないし紫褐色で漆器のような強い光沢をもつ。しかし、成熟時にはココアの粉のように胞子が積もって光沢を隠すことが多い。胞子はマンネンタケ科のキノコに独特のもので、形は卵形、膜は二重、外膜は無色で厚く、内膜は短い突起で覆われて黄褐色。この突起は厚い外膜にはめ込み型になっている。胞子の色は淡黄褐色であるが、積もるとココア色になる。茎はやや曲がりくねった円柱状、長さ5~15センチメートル、径1~2センチメートル。表面は黒く、厚い殻皮で覆われる。広葉樹の根株腐朽菌で、7~8月ごろ切り株や幹の根元によく発生する。暗い所や酸欠状態、つまり二酸化炭素の濃度が高い条件下では傘の形成が悪く、茎だけが伸びてシカの角(つの)状に枝を分け、奇形となる。このようなものをロッカクシ(鹿角芝)と名づけ、昔はめでたいものとして珍重した。また近年、民間的には制癌(がん)性があるとか、体質改善に役だつといわれ、マンネンタケの栽培が盛んである。針葉樹に生えるものはマゴジャクシという。

[今関六也]


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改訂新版 世界大百科事典 「マンネンタケ」の意味・わかりやすい解説

マンネンタケ (万年茸)
Ganoderma lucidum (Leyss.ex Fr.) Karst.

担子菌類マンネンタケ科のキノコ。サルノコシカケの1種で,柄をもつ。中国では霊芝(れいし)といい,古来の道教瑞祥の象徴とした。《日本書紀》《続日本紀》《日本後紀》などに記述がみられ,日本でも吉祥の象徴とされてきた。ヨーロッパ,アメリカ,アフリカ,アジアに広く分布し,日本では本州以南の広葉樹の根際や切株に発生する。有茎で堅い。傘と柄の表面は漆状の殻皮におおわれる。傘は類円形,初めは卵黄色のちに赤褐色から黒色となり,径20cmに達する。裏面は白~淡黄色,多数の小孔がある。柄は傘の表面と同色,同質で偏心性の個体もある。担子胞子は褐色で二重膜構造をしている。広葉樹の丸太,円盤や,おがくず,米ぬか培地に菌糸を接種して子実体を発生させる。装飾品(置物),漢方薬として利用される。漢方では他の生薬と配合して,滋養強壮鎮静薬として不眠症,頭痛,消化器疾患,病後の回復,老人性慢性気管支炎,慢性関節炎などに応用されてきた。近年その含有多糖類の免疫増強作用が研究されている。近縁種にはマゴジャクシ,ツガノマンネンタケ,コフキサルノコシカケなどがある。
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栄養・生化学辞典 「マンネンタケ」の解説

マンネンタケ

 [Ganoderma lucidum].マンネンタケ目マンネンタケ科マンネンタケ属のキノコ.漢方薬とされる.

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世界大百科事典(旧版)内のマンネンタケの言及

【キノコ(菌∥蕈∥茸)】より

…またシイタケをはじめとしてキノコ全般にわたって制癌物質の探求が進められ,とくにシイタケについては制癌性のほか対ウイルス病に関しても期待がよせられている。そのほか中国で古くから霊芝(れいし)の名で不老長生のキノコとされたマンネンタケの栽培が開発された。【今関 六也】
[キノコ栽培]
 食用や薬用のキノコ栽培は,世界的にみると,マッシュルームが生産量の過半を占め,シイタケがこれにつぐ。…

※「マンネンタケ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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