日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
マンサール(Jules Hardouin-Mansart)
まんさーる
Jules Hardouin-Mansart
(1646―1708)
フランスの建築家。建築家フランソア・マンサールの姪(めい)と王家画家アルドゥアン某の子として生まれ、1668年以降マンサールを名のった。28歳のときルイ14世の愛人モンテスパン夫人のためにクラニーのシャトー(城館)を完成して力量を認められ、宮廷建築家に登用された。ルイ・ルボーの死後、後任者として1679年にベルサイユ宮殿の増改築を任されるが、88年までに庭園に面した翼屋を南北に拡張した。この建造物に課せられた使命は、絶対主義王制下の国王、貴族および廷臣の統制ある生活ぶりを誇示すべく、一種の舞台装置たることであった。またここの庭園に建てた大トリアノンや義兄ロベール・ド・コット(1656―1735)と共同で起工したベルサイユ宮殿礼拝堂は、フランス18世紀の建築様式を先駆するものである。
[濱谷勝也]