マレース(読み)まれーす(英語表記)Hans von Marées

百科事典マイペディア 「マレース」の意味・わかりやすい解説

マレース

ドイツ画家。ブッパタール近郊のエルバーフェルト生れ。ベルリンで学んだのち各地を遊歴し,1875年以後ローマ定住,アンゼルム・フォイエルバハ〔1829-1880〕,ベックリンらとともに〈ドイツ・ローマ人〉と呼ばれる新古典派グループを形成した。コンラートフィードラーヒルデブラントらの影響のもとに,神話や歴史に題材を求めて古典主義的・理想主義的な画風を打ち出した。代表作は《求愛》(1885年か1887年,ミュンヘンノイエ・ピナコテーク蔵),ナポリの動物学研究所のためのフレスコ壁画連作(1873年以降)などがある。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「マレース」の意味・わかりやすい解説

マレース
まれーす
Hans von Marées
(1837―1887)

ドイツの画家。エルバーフェルトに生まれ、ベルリンおよびミュンヘンで修業し写実的作風から出発する。1864年レンバハと古画複写の仕事でイタリアへ赴き、66年以来、美学者フィードラーおよび彫刻家ヒルデブラントと親交を結ぶ。彼らの啓発と影響により神話を題材とする象徴的な作風に転じ、簡素で力強い形態把握によって独特の理想主義を打ち出した。70年ドイツに帰ったが、73年ふたたび出国、ナポリ、フィレンツェ、ローマに住んで同地で客死した。ナポリ動物学研究所の壁画『浜辺漁夫』が代表作。ほかに『ディアナ水浴』『レンバハとの自画像』(ミュンヘン、ノイエ・ピナコテーク)などがある。

[野村太郎]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「マレース」の意味・わかりやすい解説

マレース
Marées, Hans von

[生]1837.12.24. エルバーフェルト
[没]1887.6.5. ローマ
ドイツの画家。 1853年にベルリン,55年にミュンヘンで学び,64年以降は主としてイタリアで活躍。スペインフランスなどを旅行し,73年にナポリの動物博物館の図書館の壁画を制作。ポンペイの壁画や初期のルネサンス絵画の影響を受け,視覚的な「形」を追究した。 87年以降はローマに定住したが,晩年はほとんど作品を発表せず,無名のうちに死亡。 91年ミュンヘンで彼の作品が展覧され,『舟漕ぐ人』が高く評価された。

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