精選版 日本国語大辞典 「マルティ」の意味・読み・例文・類語
マルティ
マルティ
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キューバの詩人,思想家,革命家。16歳で独立運動に入り,独立戦争の初頭に42歳で戦死するまで,キューバとラテン・アメリカの解放運動に生涯を捧げ,〈キューバの使徒〉といわれた。その間,欧米で亡命生活をつづけ,とくに北アメリカには15年間の長期にわたって滞在し,そこからキューバ解放の遠征計画を指揮した。亡命地ニューヨークで多忙な独立運動の日々を送るかたわら,詩人としての活動も怠らず,1882年には処女詩集《イスマエリーリョ》を発表し,ひきつづき《素朴な詩》(1891),《自由詩》(1892)を刊行している。これらの詩は,スペイン・ロマン派の詩人ベッケルの影響を色濃く宿してはいるものの,簡潔で洗練された文体からして,モデルニスモの先駆詩とも代表詩ともいわれている。作家として,唯一の小説《不吉な友情》(1885)を発表する一方,プーシキン,ホイットマン,エマソン,ワイルド,ユゴーらの著作の批評を紹介し,またダーウィンの進化論やマルクス主義に対する関心を示すなど,多面的な評論活動をつづけた。また彼はすぐれた思想家であり,論文《われらのアメリカ》(1891)では,北アメリカを〈彼らのアメリカ〉と呼んで〈われらのアメリカ〉(ラテン・アメリカ)と対置し,北アメリカのラテン・アメリカ進出をいち早く〈帝国主義〉と規定した。その先見性は高く評価されよう。革命家としてのマルティは,1892年キューバ革命党を結成してその代表となったが,同党は民主主義的な綱領と機能をもち,当時としてはきわめて近代的な政党として,ヨーロッパの労働者政党にさえ先んずるような組織であった。
執筆者:神代 修
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1853~95
19世紀後半のキューバの文学家,思想家,独立運動の指導者。近代主義の詩人でもあった。幼少時よりスペインの支配に反対して,1870年と79年の2度にわたってスペインに追放され,81年以降はニューヨークを本拠地として活発な文筆活動を行った。92年に在米の同胞を集めてキューバ革命党を結成し,95年に始まった第2次キューバ独立戦争に参加するために祖国に渡ったが,まもなく戦死した。1920年代以降,その行動と著作が見直され,その後もカストロ派,反カストロ派を問わず愛国主義の象徴となっている。
出典 山川出版社「山川 世界史小辞典 改訂新版」山川 世界史小辞典 改訂新版について 情報
出典 日外アソシエーツ「367日誕生日大事典」367日誕生日大事典について 情報
…また,戦後砂糖産業の近代化と集中が進み,それに関連してキューバ砂糖業へのアメリカ資本の進出が始まった。
[独立から革命まで]
キューバ人はその後J.マルティの指導のもとで再び独立の準備を進めた。マルティは1892年にキューバ革命党を結成し,〈10年戦争〉の英雄であるゴメスMáximo Gómez将軍やマセオAntonio Maceo将軍の協力を得て95年にアメリカ合衆国からキューバに侵入し,再び独立戦争を開始した。…
…ラテン・アメリカは19世紀初頭にスペインから政治的に独立したものの,文化面ではその後も旧宗主国の影響を受けていた。しかし,独立後数十年たった1880年代になると,スペインの文化的影響から脱却するためのモデルニスモの運動がキューバのJ.マルティ,メキシコのM.グティエレス・ナヘラらによって展開され,それがラテン・アメリカ全体に広がった。彼らはゲベード,ゴンゴラらのスペイン古典詩はもちろんのこと,フランスの象徴派・高踏派,さらには中国やインドの文化の影響を受け,斬新で華麗な文体と音楽的リズム感をもった言語とを詩の分野に導入して美的・芸術的世界を謳歌し,新古典主義の硬直性とロマン主義の感傷性を打破することに成功した。…
※「マルティ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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