マルタンデュガール

精選版 日本国語大辞典 「マルタンデュガール」の意味・読み・例文・類語

マルタン‐デュ‐ガール

(Roger Martin du Gard ロジェ━) フランス小説家劇作家。新旧制度の対立家族制度崩壊などをテーマとし、代表作「チボー家の人々」を一九二二年から四〇年にかけて書き続けて完成。その後半部「一九一四年夏」でノーベル文学賞を受けた。(一八八一‐一九五八

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デジタル大辞泉 「マルタンデュガール」の意味・読み・例文・類語

マルタン‐デュ‐ガール(Roger Martin du Gard)

[1881~1958]フランスの小説家・劇作家。客観的手法によって、変動する歴史背景社会個人苦悩を描いた。1937年ノーベル文学賞受賞。小説「チボー家の人々」「ジャン=バロア」、戯曲ルルー爺さんの遺言」など。

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改訂新版 世界大百科事典 「マルタンデュガール」の意味・わかりやすい解説

マルタン・デュ・ガール
Roger Martin du Gard
生没年:1881-1958

フランスの小説家,劇作家。古文書学校卒業生である彼は,早くから科学的な文献収集分類方法を習得し,それに加えてトルストイの《戦争と平和》に強烈な感動を覚えた。後年の小説家の基調はここに定まったといえる。処女作《生成!》(1908)の出版の後,1913年の《ジャンバロア》はジッドに認められたのみならず,《NRF(エヌエルエフ)》系の文学者たちのおおかたの好評を博した。戯曲風の対話を中心に構成されているこの小説では,ドレフュス擁護派の青年の,科学と信仰,個人的正義と社会の秩序維持の相克の苦悩などが鮮明に描かれている。小説では深刻な時代的問題と格闘した彼であるが,ジャック・コポーとの親交から生まれた戯曲《ルルー爺さんの遺言》(1914),《水ぶくれ》(1928)等は,農村生活を題材にした笑劇である。しかし,今日彼の名を不朽にしているのは,なんといっても輝かしい大河小説《チボー家の人々》(1922-40)であろう。ここでは,20世紀初頭のフランスのさまざまな激動のドラマが歴史の壁画風に描かれている。キリスト教の新旧両教徒の2家族,新旧両世代,正反対の気質の兄と弟,科学的合理主義と革命的ロマン主義などがこの大作のなかで激しくせめぎ合っている。第1次大戦勃発の前後を感動的に描いた大作第7部《1914年夏》(1936)によって,彼は1937年のノーベル文学賞を受けた。遺作《モモール大佐の回想》は未完結で,いまなお未刊である。
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世界大百科事典(旧版)内のマルタンデュガールの言及

【チボー家の人々】より

…フランスの作家R.マルタン・デュ・ガールの長編小説。1922‐40年刊。…

※「マルタンデュガール」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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