日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
マルタン(Frank Martin)
まるたん
Frank Martin
(1890―1974)
スイスの作曲家。J・ラウバーに師事したのち、生地ジュネーブのジャック・ダルクローズ研究所で学ぶ。その後、同研究所で教鞭(きょうべん)をとるとともに、ピアノ奏者、チェンバロ奏者としても活躍。1950~57年ケルン音楽学校で作曲を教える。彼は、ドビュッシーをはじめとする近代フランス音楽やシェーンベルクの十二音技法などの影響を受けたが、いかなる楽派にも属さず、精緻(せいち)な音感覚と古典的な形式感にあふれた独自のスタイルを確立した。代表作には、オラトリオ『麻薬の酒』『地には平和を』『ゴルゴタ』をはじめ、『レクイエム』『小協奏交響曲』『七つの管楽器と弦楽器、打楽器のための協奏曲』などがある。
[寺田兼文]