ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「マルソー」の意味・わかりやすい解説
マルソー
Marceau, Félicien
[没]2012.3.7.
ベルギー生れの小説家,劇作家。本名 Louis Carette。フランス語で書く。第2次世界大戦後,イタリア,次いでフランスに定住。小説『シャスネイユ』 Chasseneuil (1948) で成功を収め,以後偉大でもまた卑小でもない人間に対するいつくしみに満ちた作品を発表。『小島カプリ』 Capri,petite île (51) ,『肉と皮』 Chair et cuir (51) ,『衝動』 Les Elans du cœur (55,アンテラリエ賞) ,『クリージー』 Creezy (69,ゴンクール賞) ,エッセー『カザノーバあるいは反ドン・フアン』 Casanova ou l'Anti-Don Juan (55) などがある。劇作にも筆を染め,『卵』L'œuf (56) ,『おいしいスープ』 La bonne soupe (58) ,『公爵夫人』 Madame Princesse (65) や,シナリオ『七つの大罪』 Sept Péchés capitaux (62) で一段と名を高めた。ほかに『かん切り』L'Ouvre-boîte (72) ,『問題の人物』L'Homme en question (73) なども出色の戯曲。アカデミー・フランセーズ会員 (75) 。
マルソー
Marceau, Marcel
[没]2007.9.22. カオール
フランスのパントマイム役者。本名 Marcel Mangel。半世紀以上にわたり,パントマイム界で活躍した巨匠。シャルル・デュランとエチエンヌ・ドクルーに学び,ジャン=ルイ・バロー演出の『バティスト』 (1947) のアルルカン役で好演した。 1947年パントマイム専門の劇団を創立。白塗りの顔のビップという現代のピエロを創造,『暁に死す』 (1948) ,『外套』 (1951) などで成功し,世界各地を巡業,日本にも数度来演した。「様式のマイム」といわれるその演技は,単純明快な動作と時間の綿密な計算によって,沈黙の詩をつくりだした。映画『バーバレラ』 (1968) ,『サイレントムービー』 (1976) などに出演した。 1978年パリにパントマイムの学校を設立。 2005年に現役を引退。 1970年レジオン・ドヌール勲章を授与された。 (→パントマイム )
マルソー
Marceau(Marceau-Desgraviers), François Severin
[没]1796.9.21. アルテンキルヘン
フランスの軍人,将軍。 1785年サボア=カリニャン歩兵隊に入隊,89年パリのバスティーユ襲撃に参加。 92年シャルトル国民軍に加わり,ベルダンの攻防に参加し,翌年バンデーの戦いで名声を得た。 96年6月オーストリア軍に勝利したが,同年9月 J.ジュールダンの退却を援護中,アルテンキルヘンで戦死。
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