マラー(Hermann Joseph Muller)(読み)まらー(英語表記)Hermann Joseph Muller

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

マラー(Hermann Joseph Muller)
まらー
Hermann Joseph Muller
(1890―1967)

アメリカの遺伝学者。ニューヨークに生まれる。コロンビア大学に学び、モーガンに師事した。1915~1918年テキサス大学ライス研究所講師。1918年コロンビア大学講師。その後、1920年ふたたびテキサス大学に戻り、1925年教授となる。この時代がもっとも充実した時代であったが、生来の社会主義的世界観がテキサスでは受け入れられにくかったことに対する不満などから、1932年ドイツを経てソ連に行き、バビロフ要請でモスクワ遺伝学研究所員として活躍するが、ルイセンコと論争してイギリスに脱出。1937年からエジンバラ大学に勤務、1940年アメリカに戻り、アマースト大学を経て1945年インディアナ大学教授となる。1964年退職。若い時代にはモーガン学派の一員としてショウジョウバエを材料に遺伝子の交差現象を研究し、遺伝子の線状配列説の確立に寄与した。テキサス時代はX線による人工突然変異の研究を行い、遺伝学に新紀元を画した。また生物の進化を遺伝子の進化という面から追究し、分子遺伝学の今日の知識につなげた功績は大きい。1946年、X線照射による突然変異発生を発見したことによりノーベル医学生理学賞を受けた。

田島弥太郎

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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