マボ判決(読み)マボはんけつ

百科事典マイペディア 「マボ判決」の意味・わかりやすい解説

マボ判決【マボはんけつ】

1982年オーストラリア,トレス海峡の島の土地所有権確認を求めて,パプア系先住民(原告代表はマボK.E.Mabo)がクイーンズランド州を提訴した裁判での判決。連邦最高裁判決は1992年,英国人が領有化する以前のオーストラリア大陸には土地所有者が存在しなかったとする従来の政治的教義〈無主地の法理〉を否定した。これを受け,1993年先住権原法が成立翌年には先住権原登記所,先住権原審判所が設置され,個々の土地,水域について,先住民の先住権の確認,補償認定,調整が行われている。→先住民族アボリジニー
→関連項目オーストラリア

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

世界大百科事典(旧版)内のマボ判決の言及

【先住民族】より


[考え方]
 一般に,〈近代〉国家が形成される段階で,〈未開〉であるとの偏見をもとに,民族としての存在と固有の文化を否定され,その伝統的領土とともに一方的にその国家に併合された民族集団を指す。その領土には植民地政策が敷かれ,大虐殺や強制同化政策などにより民族としての抹殺が行われるが,同化が進んでも,差別問題は解決しない。この点,先住民族は,近代国家に自らの意思で統合されたかどうか,植民地政策が行われたかどうかによって確認される政治学の概念であり,民族学や人類学の概念ではない。…

※「マボ判決」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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