マニフェストデスティニー

精選版 日本国語大辞典 の解説

マニフェスト‐デスティニー

〘名〙 (Manifest Destiny) 一八四〇~五〇年代のアメリカ西方進出・領土拡大を正当化した語。「明白な運命」「膨張天命」などと訳される。アメリカ合衆国の領土拡大は、神がアメリカ国民に与えた使命であるとするこの考え方は、九〇年代のアメリカの帝国主義政策の弁護にも用いられた。

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デジタル大辞泉 の解説

マニフェスト‐デスティニー(Manifest Destiny)

《明白な運命の意》1840年代、アメリカ合衆国の西方への領土拡張を正当化するために使用されたスローガン

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 の解説

マニフェスト・デスティニー
Manifest Destiny

〈明白な運命(天命)〉〈膨張の宿命(天命)〉などと訳されるアメリカ膨張主義思想典型。ニューヨーク市のジャーナリスト,オサリバンJohn L.O'Sullivan(1813-95)が《デモクラティック・レビュー》誌の1845年7月号に発表した《併合》と題する論文で使った語である。〈年々増加していく幾百万のわが国民の自由の発展のために,神によって与えられたこの大陸にわれわれが拡大するというマニフェスト・デスティニーの偉大さ……〉と,オサリバンは記した。直接にはオレゴン領有をめぐるイギリスとの紛争オレゴン問題)のなかで主張されたのだが,ほとんど全国民的な膨張気運を代弁しながら,膨張を倫理的に正当化したことが特徴であり,大陸帝国建設の思想として力を発揮した。もともとアメリカの膨張主義思想は,農民を選民とするジェファソン主義や,モンロー主義に表れた〈地理的予定説〉を中心としていたが,〈明白な運命〉説の普及によって,大陸への膨張は自由の拡大という使命の遂行にほかならぬとされるようになった。こうした考え方はやがて地理的限定を越え,大陸外への膨張,帝国主義をも正当化する思想として役割を果たしつづけた。そのため,〈地理的予定説〉から20世紀の〈国際警察力〉論,〈世界指導者〉説などにいたるアメリカの膨張思想を〈マニフェスト・デスティニー〉の語で一括することが多い。
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