日本大百科全書(ニッポニカ) 「マウナ・ケア天文台群」の意味・わかりやすい解説
マウナ・ケア天文台群
まうなけあてんもんだいぐん
ハワイ諸島の最南端、ハワイ島のマウナ・ケア山(標高4200メートル)の山頂に林立する天文台群。ここには1968年以後、ハワイ大学の口径2.2メートル望遠鏡をはじめ、フランス、カナダ、ハワイ共同の口径3.5メートル望遠鏡、NASA(ナサ)の3メートル赤外線望遠鏡、イギリスの3.8メートル赤外線望遠鏡、カリフォルニア工科大学の口径10メートルと、イギリス、オランダの口径15メートルのサブミリ波望遠鏡が山頂付近にところ狭しと並んでいる。1993年にはカリフォルニア工科大学の口径10メートルのケック望遠鏡第1号機が完成し、現在は2号機も稼動を始めている。さらに、1999年からは、日本の口径8.2メートルの「すばる」望遠鏡と、アメリカ、イタリア共同の口径8メートルのジェミニ望遠鏡が観測を始めた。現在、世界の最高点にある天文台群で、水蒸気量が少ないうえ、年間の快晴日数も300日を超える好条件に恵まれていることもあって、赤外線観測、サブミリ波観測では南米(チリ)のアンデス山上にあるアメリカ(セロ・トロロ)およびヨーロッパ連合(ラシヤ、パラナル)の天文台群とともに世界における光、赤外線、サブミリ波天文観測の拠点の一つとなっている。
[奥田治之]