マイヤー(Viktor Meyer)(読み)まいやー(英語表記)Viktor Meyer

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

マイヤー(Viktor Meyer)
まいやー
Viktor Meyer
(1848―1897)

ドイツの有機化学者。ベルリン生まれ。1867年ハイデルベルク大学で博士号を取得。1870年シュトゥットガルト工科大学、1872年チューリヒ工科大学、1885年ゲッティンゲン大学と化学教授を歴任し、1889年ブンゼン後任としてハイデルベルク大学教授となり晩年に至る。有毒気体を長期間用いたことが災いして健康を損ない、うつ病に襲われ、1897年青酸化合物を飲んで自殺した。

 気体研究の第一人者であり、分子量の決定には欠くことのできない蒸気密度測定法(ビクトル・マイヤー法)を実験的に確立したことがもっとも有名である。弟子のカルル・ランゲルCarl Langer(1859―1935)との共著『花火技術研究』Pyrochemische Untersuchungen(1885)では、高温下の気体の蒸気密度を測定するという難題を解決した。また複素環式化合物チオフェンの単離でも知られる。彼の蒸気密度研究は『有機化学教科書』2巻Lehrbuch der organischen Chemie, 2(1893~1903)にまとめられている。

[井山弘幸]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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