マイスタートゥルンク

世界の観光地名がわかる事典 「マイスタートゥルンク」の解説

マイスタートゥルンク【マイスタートゥルンク】

ドイツ南部、バイエルン州ローテンブルク(Rothenburg ob der Tauber)のマルクト広場に位置する、市参事会酒宴館(Ratstrinkstube)の建物の3階にある名物の仕掛け時計。毎日決まった時間に時計の左右の窓が開き、人形が現れ、大きな杯でワインを飲み干す仕草をする。◇これは、次のようなローテンブルクの過去のエピソードによる。17世紀の三十年戦争でプロテスタント側についたローテンブルク市は、カトリック軍に包囲され、防戦空しく占領された。占領したカトリック軍のティリー将軍は、町の破壊と、指導者の市参議会員の反逆罪による処刑を宣告した。これをやめさせようと、市民が極上のフランケンワインを3.25ℓの容器になみなみとついで差し出したところ、将軍は、この大杯のワインを一気に飲み干す者がいたら、死刑囚を特赦すると申し渡した。この申し出に進み出たローテンブルクの元市長のヌッシュは、見事ワインを飲み干し、町の破壊と市参議会員の処刑を免れた。このワインの一気飲みが「マイスタートゥルンク」で、伝説として現在に伝わっている。このからくり時計の人形のうち、向かって右がワインの大杯を抱えた元市長のヌッシュ、左は占領軍のティリー将軍である。ローテンブルクではこの故事にちなんで、毎年初夏の聖霊降誕祭に「マイスタートゥルンク祭り」が行われている。◇現地名は「Meistertrunk at Ratstrinkstube」。

出典 講談社世界の観光地名がわかる事典について 情報

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