マイクロカプセル
マイクロカプセル
microcapsule
医薬品,色素,香料などを包み込むための微小容器(約5~300 μm).すなわち,
(1)液体を見掛け上,固体にして粉体化する,
(2)揮発物質を不揮発化する,
(3)反応性物質を不活性化し反応成分どうしを混合する,
(4)物質粒子の表面を被膜化することにより内包物の放出をコントロールする,
などの目的に用いられる.使用例としては,感圧複写紙,医薬品(アスピリンのエチルセルロースカプセルによる時限粒(time pill)化),香料,オイルカプセル,繊維のポリエチレンカプセル,接着剤,色素カプセル,液晶物質カプセル,カプセル化肥料などがある.マイクロカプセル化法としては,化学的方法,物理化学的方法,および物理的方法に大別される.カプセル化の手順としては,
(1)カプセル化媒体中に芯(しん)物質を微粒子状に分散させ,
(2)この系に壁膜物質を導入し,
(3)なんらかの方法で壁膜物質を芯物質粒子の周囲に集合,沈積,包囲させてカプセル壁を形成する.さらに,
(4)カプセル壁はそのままでは不安定なので,物理的または化学的方法によって強化する.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
マイクロカプセル
microcapsule
種々の物質を封じ込める径1~100μm程度の微小な容器。ゼラチン,ビニルなどの天然または合成高分子カプセルのほか,無機質カプセルも開発された。最初の商品は,紙に塗られた染料入りカプセルを筆圧で破壊して発色させる感圧複写紙である。医薬や農薬をカプセル化すると薬効がゆっくり効率的に持続する。熱膨張性マイクロカプセルは,感光剤に混入して塗布した盲人用立体コピー用紙や,塗料やセメントに混入して軽量化・弾性化するのに利用されている。磁性体や金属の超微粒子を混ぜた生体適合性高分子のマイクロカプセルで固定した薬剤は,機能性材料として医療に応用されている。
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
百科事典マイペディア
「マイクロカプセル」の意味・わかりやすい解説
マイクロカプセル
数μmから数百μm(1μmは1/1000mm)程度の微小容器。液体や揮発性物質や互いに化合してしまう物質を包み込み,粉状にしたり保護したりして使用しやすくする。事務用の感圧複写紙はマイクロカプセル利用の身近な例であるが,医薬品,色素,染料,食品,接着剤,洗剤,化粧品,写真フィルムなど,日常生活のなかで新しい機能を備えた製品のほとんどにマイクロカプセル化の技術が応用される。カプセルの材料にはゼラチン,アラビアゴムノリ他が目的によって利用される。カプセルは温度・圧力・酸などによって破れ必要なときに内容物が作用する。
→関連項目ノーカーボン紙
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デジタル大辞泉
「マイクロカプセル」の意味・読み・例文・類語
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
マイクロカプセル
径が数mmから数百mmの微小な体積の容器で,薬剤用には消化管で溶けるゼラチンなどを用いて製造する.
出典 朝倉書店栄養・生化学辞典について 情報
世界大百科事典 第2版
「マイクロカプセル」の意味・わかりやすい解説
マイクロカプセル【microcapsule】
数μm~数百μm程度の微視的な大きさに物質を包みこむ微小な容器をいう。物質をマイクロカプセルに内包すること(マイクロカプセル化)の目的は,(1)液体を包みこむことによって粉体状にして取扱いを容易にしたり,(2)包みこんだ物質が徐々に放出されることを利用してその放出の仕方をコントロールしたり,(3)そのままでは互いに反応する物質をマイクロカプセル化して隔離したうえで混合し,必要に応じて反応させるようにしたり,(4)揮発しやすい物質を包みこんで揮発しないようにする,などである。
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