ポロ(英語表記)polo

翻訳|polo

精選版 日本国語大辞典 「ポロ」の意味・読み・例文・類語

ポロ

〘名〙 (polo) 馬にのってする球技。四人ずつ二チームでマレット(先端がT字型の杖)で木製のボールを打ちあい、運んで相手方ゴールに入れるのを競う。〔アルス新語辞典(1930)〕

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デジタル大辞泉 「ポロ」の意味・読み・例文・類語

ポロ(polo)

乗馬競技の一。4人編成の2チームで、馬上からT字形のスティックで木製のボールを相手側のゴールに入れ合って得点を競う。ポロー。

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改訂新版 世界大百科事典 「ポロ」の意味・わかりやすい解説

ポロ
polo

馬に乗った競技者がスティックで木製のボールを打ち合い,相手のゴールに入れて得点を争う競技。騎馬民族の競技,あるいは軍事教練として始まったもので,古代ペルシアで盛んに行われた。以後ペルシア(イラン)からアラビアチベット,中国などに広まり,13世紀にインドへ伝えられたという。日本の打毬(だきゆう)も同系統である。ポロの名前はチベット語のpulu(ボールの意)による。19世紀中ごろインド駐在のイギリス騎兵隊がポロに興味を持ち,本国へ導入,1871年にイギリス最初の試合が行われた。以後近代ルールが整備されて各国へ普及した。現在はインド,イギリス,アメリカアルゼンチンなどを中心にヨーロッパアフリカなどでも行われている。日本へは1920年代の初めにイギリス大使館によって伝えられたが,普及に至っていない。

 競技は各チーム4人で行われるが,競技場が狭い場合には3人制も採用される。初期には8人制だった。競技場は縦300ヤード(274m),横200ヤード(183m)で,ゴールには高さ10フィート(3m)の柱を8ヤード(7.3m)の間隔で2本立てる。柱には布などを巻き,激しくぶつかったときは倒れるようにしておく。マレットmalletと呼ぶスティックは長さ1.4mほどで,頭部は槌のようになっているが,ボールを打つのはその側面である。ボールは堅い木で作られ,直径31/4インチ(82.5mm),重さ41/4~43/4オンス(120~135g)ある。試合は7分30秒をくぎり(チャッカーchukker)とし,一般には4チャッカー,最高は8チャッカー行う。休憩は各回3分以上とる。馬に乗った審判2人のほかにレフェリーを置く。まず両軍が中央に向かい合って並び,審判がボールを投げ入れて試合が始まる。ボールを追っている選手の前方を横切ったり,スティックで相手や馬をたたいたりしてはいけないなど,こまかい規則がつくられている。ボールがゴールを通過すると得点となり,サイドが入れかわる。使用馬はポニーと呼ばれるが,種類の制限はなく,特別に教育されたアルゼンチン産のサラブレッド系の馬が多い。危険防止のため,選手はヘルメットブーツ,ひざ当てを着用し,馬の下肢には布を巻く。勇壮で人馬一体となったチームワークが要求され,技量の差が大きく影響するゲームなので,馬を含めて選手には前もってハンディキャップポイントを与えて試合の勝敗を決めることが多い。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ポロ」の意味・わかりやすい解説

ポロ
ぽろ
polo

4人ずつのプレーヤーがマレット(長柄の木槌(きづち))でボールを奪い合い、ゴールに打ち込む。起源は騎馬民族の競技として始まったもので、古代ペルシアで盛んに行われた、チャウガーンĆawgánで、Ćawは木切れ=Caupa、gánはたたく物=gán(a)と推定される。ポロの語源は球を意味するチベット語puluに由来するとされる。

 競技は、プレーヤーは1から4までの背番号をつけ、1、2はFW(フォワード)、3、4はBK(バック)になる。競技方法は1回7分30秒で、8回行う。回(ピリオド)が終わるたびに3分の休憩があり、4回目が終了したハーフ・タイムには5分間休む。審判は騎乗者2人とサイドライン1人からなっている。

 競技場は長さ300ヤード(1ヤードは約91センチメートル)、幅160ヤード以内の長方形で、その周囲にはセーフティゾーンをつくる。11インチ(1インチは約2.54センチメートル)の高さの白い板柵(いたさく)で囲むのが規則だが、もし柵がない場合は、幅200ヤードまでがセーフティゾーンとして認められる。ゴールは高さ10フィート(1フィートは約30.48センチメートル)の柱を8ヤードの間隔で2本立てる。

 プレーヤーが騎乗する馬はポロポニーといわれる小馬で、数年間調教訓練された15から15.2ハンズ(1ハンズは手幅の長さ)の高さの馬と限定されている。マレットはシャフト部分が47~54インチ、ヘッドは紙巻きたばこを大きくしたようなもので直径2インチ、長さ9インチの木製の槌である。ボールは、ヤナギ、トネリコ、竹の根でつくられ、直径3.25インチ、重さ4.25~4.75オンス(1オンスは28.35グラム)となっている。勝負服は白のパンツ、チームカラーのジャージーを着用、皮またはゴム製の膝(ひざ)当てとヘルメットを着けることになっている。

 競技開始は、センターラインの両側に並んだ両チームの間に、ボールを投げ入れることから始まる。騎乗したままでマレットを使ってボールを打ち、相手ゴールに打ち込めば1点を与えられる。自陣のゴール防御の際、相手の人馬をつかんだり、マレットを使ってじゃますることは禁止されているが、ボールに対して相手の馬と同じサイドにいるか、直後の場合には、相手の打とうとするマレットを自分のマレットでひっかけることはできる。反則がなければゴールできたときにはペナルティーゴールが、また反則に応じてフリーヒットが与えられる。8回を終わって同点の場合は1点をとるまで延長する。現在は、インド、イギリス、アメリカなどを中心に、ヨーロッパ、アフリカなどでも行われている。

[石井恒男]

『森美香著『ポロ その歴史と精神』(1997・朝日新聞社)』

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百科事典マイペディア 「ポロ」の意味・わかりやすい解説

ポロ

馬に乗った各4人からなる2チームで行うホッケーに似た競技。ポロの名はチベット語pulu(ボールの意)に由来する。木または竹製のボール(直径約8.25cm)を先端がT字形になったスティック(マレット)で打ち合い,相手側ゴールに入れて得点を競う。試合は各3分の休憩をはさんで7分30秒ずつ8回行う。古代ペルシア(現,イラン)に起源し,アラビア,チベット,中国,インドへと伝播(でんぱ)していった。近代スポーツとしては19世紀中ごろインドから英国に伝えられて,以後欧米で盛ん。日本の打毬(だきゅう)もこの系譜につらなる。→カヌーポロ
→関連項目ポロシャツ

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ポロ」の意味・わかりやすい解説

ポロ
polo

小型のウマ (ポニー) に乗ってT字形のスティック (マレット) を操りながらボールをゴールに入れ,得点を競う球技。前 500年頃にペルシアで行なわれていた記録が残っている。のちインドに伝わり,1859年イギリスに紹介された。試合は4人編成の2チームが約 274m× 183mの競技場で,7分~7分 30秒ずつ4~8ピリオド (チャッカー) を戦い,間に3分の休憩をとる。ボールは必ずマレットで操作しなければならず,身体で止めると反則となる。また相手を押したり,ウマの尻をたたいたりすることも禁じられている。2人以上の選手がボールを取りにいくときは,ボールが自身の右にある位置から回りこまなければならない。またマレットで相手のマレットをひっかけてもよいが,ボールと相手馬と同じ側か,あるいはそのすぐ後ろで行なわなければならない。違反すれば減点となる。

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デジタル大辞泉プラス 「ポロ」の解説

ポロ〔香水〕

《Polo》アメリカのファッションブランド、ラルフ・ローレンのフレグランス。1980年発表。男性用。「ポロ・フォー・メン」とも。

ポロ〔自動車〕

ドイツのフォルクスワーゲンが1975年から製造、販売している乗用車。3ドア、5ドアの小型ハッチバックを中心とする。

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世界大百科事典(旧版)内のポロの言及

【トリブート】より

…スペイン植民地下のフィリピンで施行された人頭税制度。スペイン政庁はトリブート,ポーロpolo(強制労働)の二つの制度を用いて,フィリピン住民から過酷な収奪を行った。トリブートは1家族または成年に達した2人を一組とする貢納単位(トリブタリオ)ごとに課せられ,その額は制定時の1571年には1年につき銀8レアル,17世紀以降はおおむね10レアルであったが,1851年に12レアル,74年に14レアルに増額され,84年に廃止された。…

【ウマ(馬)】より

… ところで軍事的・経済的価値とは別に,馬のスポーツ上の意義も小さくない。パキスタンやアフガニスタンの村々では,現在でも郷紳たちのスポーツとしてポロが行われ,カシミール地方では村ごとに競技場がある。古代ペルシアのダレイオス1世はポロを奨励したというが,馬上で羊の奪い合いをするブズキとともに,高度の馬の統御を要する点で,その極致を示すものといえる。…

【唐】より

…西安の唐墓から楽器を携えた胡人たちを背に乗せたラクダの唐三彩俑が出土したりして,当時の雰囲気を今に伝えてくれる。ペルシア渡来の勇壮なポロ競技,すなわち馬上ホッケーが貴族や後宮の美女たちのあいだに流行し,若き日の玄宗もそれに夢中になったという。従来もポロに興じる女性を模した陶塑が出土していたし,近年,乾陵(けんりよう)の陪冢(ばいちよう)の一つである章懐太子(李賢)墓から,ポロ競技を活写した美事な壁画が現れたのも偶然ではなかったのである。…

※「ポロ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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