ポリ(N-ビニルカルバゾール)(読み)ポリビニルカルバゾール

化学辞典 第2版 の解説

ポリ(N-ビニルカルバゾール)
ポリビニルカルバゾール
poly(N-vinylcarbazole)

ビニル基の位置により種々のビニルカルバゾールがあるが,重合体として重要なのは,次に示すN-ビニルカルバゾールの重合体ポリ(N-ビニルカルバゾール)である.

重合体はラジカル重合イオン重合などで得られる.ガラス転移温度 Tg84 ℃.軟化温度100~150 ℃.密度1.20 g cm-3(23 ℃).電気的性質がポリスチレンと同程度で軟化点が高い.この重合体の特徴はその光伝導性にある.絶縁体(電気伝導率 10-16~10-18 Ω-1 cm-1)であるが,波長約400 nm 以下の光を照射すると,光伝導性を示す.一般に,この重合体のような大きなπ電子系の置換基主鎖に直接結合している重合体は,無定形部分でも一本のポリマー鎖はかなり規則的な構造をとっていて,キャリヤーは,このポリマー鎖に結合しているもっとも近い置換基の間を容易にホッピング移動できると考えられている.色素,そのほかの光増感剤を加えると,普通の紫外光あるいは白色光下で光伝導性を示すようになる.現在,この性質を利用して,電子写真や静電気記録などに広く実用化されている.[CAS 25067-59-8]

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

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