日本大百科全書(ニッポニカ) 「ポラック(海水魚)」の意味・わかりやすい解説
ポラック(海水魚)
ぽらっく
pollack
[学] Pollachius pollachius
硬骨魚綱タラ目タラ科Gadidaeの海水魚の総称。北大西洋のヨーロッパ側、北海、北極海に広く分布する。マダラに似ているが、目が大きく、下顎(かがく)が上顎より突出し、先端にひげがない。体は背面が濃緑褐色、側面が黄色みを帯び、腹びれを除いて各ひれが暗色である。
若魚となって約3年間は沿岸近くの岩礁地帯で小さな群れをつくってすむが、大きくなると水深40~100メートルの沖合に移り、単独で生活する。2~5月に水深およそ150メートルで産卵する。5年で52~63センチメートル、8年で75センチメートルほどになり、最大で全長約130センチメートルになる。おもに魚類を、それ以外にイカ類や甲殻類を食べる。体重9キログラムぐらいまでの魚体が釣りの対象魚として人気がある。フランス、スペイン、イギリス、ノルウェー、デンマーク、アイルランドなどで、底層・中層トロール、延縄(はえなわ)、刺網などで漁獲され、鮮魚、冷凍魚として流通する。
アメリカで一般にポラックとよばれる近縁種のセイスSaithe/Pollachius virensは、下顎に短いひげがあること、第1背びれと第2背びれの間の下では側線の溝がないことなどでポラックと区別できる。アメリカ、ヨーロッパ両岸に広く分布する。ポラック、コッド、ハドックと同様に水産重要種である。
[落合 明・尼岡邦夫]