ポナムペルマ(読み)ぽなむぺるま(英語表記)Cyril Andrew Ponnamperuma

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ポナムペルマ」の意味・わかりやすい解説

ポナムペルマ
ぽなむぺるま
Cyril Andrew Ponnamperuma
(1923―1994)

スリランカ生まれの化学者、生命起源の研究者。スリランカとインドで教育を受けマドラス大学を卒業。さらにロンドン大学化学科を卒業後1959年渡米、1962年カリフォルニア大学バークリー校のM・カルビン(1961年ノーベル化学賞受賞)の下で学位を得た。NASA(ナサ)エームス研究センターへ移り、化学進化研究室長を経て、1971年以来メリーランド大学化学科教授。1984年からスリランカの基礎科学研究所長を兼務

 原始大気を模した混合ガスの放電実験など化学進化の実験研究を精力的に行い、生命の起源のオパーリン仮説を支持する研究を展開した。隕石(いんせき)中からアミノ酸や核酸塩基を検出、また月の石の有機物分析や火星木星の模擬実験など宇宙化学にも貢献した。さらにバイキング計画極地探検などにも参加。また古代岩石中の化学化石を分析したり、光学活性の起源の研究を行った。これらの業績により、第1回オパーリン賞を受賞。国際生命の起源学会会長、同学会誌『Origins of Life』編集長、アーサー・クラーク先端技術研究所長などを歴任した。日本びいきで、日本から多数の留学生を迎え入れた。1994年12月メリーランド大学の実験室で倒れ帰らぬ人となった。代表的著作に『生命の起原』(1972)がある。

[大島泰郎]

『大島泰郎訳『生命の起原』(1976・TBSブリタニカ)』『C・ポナムペルマ、A・G・W・カメロン編、大島泰郎訳『地球外文明をさぐる――科学的基礎と展望』(講談社・ブルーバックス)』『A・I・オパーリン、C・ポナムペルマ、今堀宏三著『生命の起源への挑戦――謎はどこまで解けたか』(講談社・ブルーバックス)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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