ポセイドニオス(読み)ぽせいどにおす(英語表記)Poseidonios

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ポセイドニオス」の意味・わかりやすい解説

ポセイドニオス
ぽせいどにおす
Poseidonios
(前135ころ―前50ころ)

古代ギリシアの中期ストア学派哲学者。シリアアパメイアの生まれ。アテネパナイティオスに学び、地中海各地を経てロードス島に落ち着いた。その学問的関心は多方面にわたり、ヘレニズム文化を集成総合した功績アリストテレスにも比せられる。キケロを教え、ルクレティウスウェルギリウスセネカなどの詩人文人サルスティウスカエサルタキトゥス、プルタルコスらの歴史家に大きな影響を与え、神の国「コスモポリス」と地上の国の関与と調和を説く彼の歴史哲学は、現実のローマ帝国の統治理念ともなった。著作の残存断片は少ない。

[田中享英 2015年2月17日]

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改訂新版 世界大百科事典 「ポセイドニオス」の意味・わかりやすい解説

ポセイドニオス
Poseidōnios
生没年:前135-前51

シリアのアパメイア出身のギリシア哲学者。ラテン名ポシドニウスPosidonius。パナイティオス弟子となって,ともにストア学派を再興した。キケロの師として,ローマにストア学派の哲学を広めた最大の功績者である。若くして当時の世界をくまなく遍歴し,自然科学,地理学,天文学,数学など,あらゆる学問に通暁していた。にもかかわらず,知識や理論にふりまわされない,いわゆる〈ストイック〉な生き方確立を説いた。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ポセイドニオス」の意味・わかりやすい解説

ポセイドニオス
Poseidōnios

[生]前135頃.シリア,アパメア
[没]前51頃.ローマ
ストア派の有力な古代ギリシアの哲学者,自然学者,数学者,天文学者,地理学者,歴史家。アテネでパナイティオスに師事,師によって創設されたロードス島の哲学学校の教頭となり,キケロ,ホルテンシウス,ポンペイウスはここで彼に学んだらしい。前 51年ローマへ外交上の使命でおもむいた。著作は残存せず,伝えられる書名は『霊魂論』 Peri psychēs,『判断論』 Peri kritēriou,『自然学』 Physikos logos,『宇宙論』 Peri kosmou,『倫理学』 Ethikos logosなど。

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「ポセイドニオス」の解説

ポセイドニオス
Poseidonios

前135頃~前50

シリアのアパメイアに生まれ,アテネで学び,ロドス島に住みついたストア学派の著述家。キケロポンペイウスの友。哲学,自然科学,歴史についての著述の断片が現存する。

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世界大百科事典(旧版)内のポセイドニオスの言及

【ゲルマン人】より

…言語系統としては,ケルト人やイタリキと親近関係にあるともされている。ゲルマンという呼称の由来は不詳であるが,この語が文献上最初にあらわれるのは,前80年ころ,ギリシアの歴史記述家ポセイドニオスが,前2世紀末におけるゲルマンの小部族,キンブリ族Cimbriとテウトニ族Teutoniのガリアへの侵寇を叙述した記録においてである。もっともそれ以前,前4世紀の末に,マッシリア(マルセイユ)にいたギリシア人航海者ピュテアスが,ノルウェーやユトランド半島に出向いた際の記録の一部が残っているが,そこではまだそこに住んでいた民族について,ゲルマンという呼称は使われていない。…

※「ポセイドニオス」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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