ボーモント(英語表記)Francis Beaumont

デジタル大辞泉 「ボーモント」の意味・読み・例文・類語

ボーモント(Beaumont)

米国テキサス州南東部の都市。同国有数の港を有し、メキシコ湾運河で結ばれる。20世紀初頭に南東郊のスピンドルトップで油田が発見され、石油産業隆盛。石油で財を成した実業家が建てた豪奢邸宅が残っている。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「ボーモント」の意味・わかりやすい解説

ボーモント
Francis Beaumont
生没年:1584?-1616

イギリスの劇作家。地方判事の子として生まれ,オックスフォード大学を中退したのち一時法曹学院に籍を置いたが,やがて文筆家を志し,匿名でオウィディウス風の物語を書いたりして青年時代を過ごした。最初の劇作品《女嫌い》(1606初演。以下初演年)はB.ジョンソンの影響を強く受けた気質喜劇であるが,第2作《輝けるすりこぎの騎士》(1607ごろ)は中世騎士道ロマンスを戯作化し,大衆劇場の観客の観劇態度を茶化しつつ,市民階級の無教養ぶりを揶揄(やゆ)した手の込んだ喜劇である。1608年ごろに始まり,5年後彼が結婚して作家生活を退くまで続いたジョン・フレッチャーJohn Fletcher(1579-1625)との緊密な共作活動は,およそ10編のきわめて統一のある作品を生み,後世〈ボーモント・アンド・フレッチャー〉という連名はあたかも単一作家の名のように扱われることになった。なかでも彼らの悲喜劇は独特の色合いをもち,しだいに貴族化しつつある観客の好みに合致して大きな人気を呼んだ。《フィラスター》(1609ごろ)および《王にして王にあらず》(1611)はその代表作であるが,いずれの場合にも悲劇と喜劇の融和は,スリルに富んだ場面効果を積み重ねて観客の緊張を極度に盛り上げたのち,大詰めで突然の逆転によってその緊張を緩め,観客に人為的な解放感を与えることによって達成される。《乙女の悲劇》(1611ごろ)をはじめとする悲劇では,極限に近い状況の中で絶望的な二者択一を迫られて苦悶する人物たちの悲哀に満ちた姿を刺激的に描くことに重点がおかれている。なおボーモントはその晩年,当時流行していた仮面劇を宮廷での余興用に書いている。
執筆者:

ボーモント
Beaumont

アメリカ合衆国テキサス州南東部の工業都市。人口11万1799(2005)。メキシコ湾と結ぶサビーン・ネチズ運河沿いにあり,大型船も接岸できる港をもつ。この運河沿いに大規模な精油所と石油化学工場が立地している。周辺地域に産する木材の加工や製紙,精米,食肉缶詰,金属加工などの工場もある。1901年,近くのスピンドルトップで石油が発見され,同州最初の石油ブームにわく都市となった。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ボーモント」の意味・わかりやすい解説

ボーモント
Beaumont, Francis

[生]1584頃.レスターシャー,グレースデュー
[没]1616.3.6. ロンドン
イギリスの劇作家。 J.フレッチャーとの合作で知られる。 1613年に結婚して劇壇から引退した。 79年の『ボーモント=フレッチャー全集』に収められた 52編のうち,ボーモントの単独作は気質喜劇『女嫌い』 The Woman Hater (1605) と風刺喜劇『熱いすりこぎ団の騎士』 The Knight of the Burning Pestle (07) だけ。合作も 10編に満たないが,そのうちの代表作『フィラスター』 Philaster (09頃) は,以後の多くの悲喜劇の範となり,王政復古期の演劇にも影響を及ぼした。その他の合作に,伝奇劇『王にして王にあらず』A King and No King (11) ,悲劇『乙女の悲劇』 The Maid's Tragedy (11) ,喜劇『お高くとまった貴婦人』 The Scornful Lady (13) など。

ボーモント
Beaumont, William

[生]1785.11.21. コネティカット,レバノン
[没]1853.4.25. ミズーリ,セントルイス
アメリカの軍医。ミシガン州北部,マッキナク要塞に駐留中,1822年6月6日左の上腹部に至近距離から銃弾を受けたカナダ人の猟師の治療にあたったが,創痕が胃瘻となって残り,そこから胃の中を見ることができる状態だったので,消化の過程を研究し,消化の化学,食物の分解の時間,感情が胃液分泌に与える影響などを記録し,その結果を"Experiments and Observations on the Gastric Juice and the Physiology of Digestion" (1833) にまとめた。彼はヒトの胃での消化機構を観察した最初の人だったので,この報告は生理学に重要な貢献をした。

ボーモント
Beaumont

アメリカ合衆国,テキサス州南東部の都市。ポートアーサーの北西約 26km,ネチェズ川の遡航終点に位置する。製材と船舶輸送が初期の産業であった。その後,綿花,サトウキビ,家畜の積出港として繁栄。 1901年同州最初の油田が近郊のスピンドルトップで発見され,ポートアーサー,オレンジ両市とともにテキサス石油化学コンビナートを形成。その他造船,船舶修理,ボーリング機械,パイプライン施設の工場がある。人口 11万8296(2010)。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

百科事典マイペディア 「ボーモント」の意味・わかりやすい解説

ボーモント

英国の劇作家。フレッチャーとの共作で《乙女の悲劇》(1611年)などを書いた。

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android