日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
ボリス・ゴドゥノフ(Boris Fyodorovich Godunov)
ぼりすごどぅのふ
Борис Фёдорович Годунов/Boris Fyodorovich Godunov
(1552ころ―1605)
ロシアの政治家、皇帝(在位1598~1605)。イワン4世に寵愛(ちょうあい)され、政治家として頭角を現す。妹がフョードル帝の妃であった関係から、病弱な帝の摂政(せっしょう)となり、実権を掌握した。帝の死後、ゼムスキー・ソボール(全国会議)によってツァーリに推戴(すいたい)された。イワン4世の政策を踏襲し、士族を登用し、ロマノフ家など名門の貴族を遠ざけた。スウェーデンとの戦争(1590~95)でフィンランド湾沿岸の旧モスクワ領を回復した。また、モスクワの府主教の総主教への昇格に成功(1589)。逃亡農奴の捜索を5年間とする法を施行して農奴制を強化したが、農民の不満がおりからの飢饉(ききん)(1601~03)と相まって強まり、各地に一揆(いっき)が続発。彼は、偽(にせ)ドミトリー(1世)の侵攻で国内が混乱するなかで死去。
[伊藤幸男]