ボタンヅル(読み)ぼたんづる

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ボタンヅル」の意味・わかりやすい解説

ボタンヅル
ぼたんづる / 牡丹蔓
[学] Clematis apiifolia DC.

キンポウゲ科(APG分類:キンポウゲ科)の藤本(とうほん)(つる植物)。茎は木質化する。葉は対生し、1回3出複葉小葉卵形で先端はしだいにとがり、粗い鋸歯(きょし)があり、表面は網目状にへこむ。8~9月、集散状円錐(えんすい)花序をつくり、径約2センチメートルの花を上向きに多数開く。花弁はなく、水平に開く白色萼片(がくへん)が4枚ある。果実は痩果(そうか)で長い毛があり、長さ1センチメートルの羽毛状の花柱が残る。山野の林縁に普通に生え、本州から沖縄、および朝鮮半島、中国に分布する。本州の中部地方から関東地方に分布し、葉が2回3出複葉で痩果に毛のない変種をコボタンヅルとよぶが、明瞭(めいりょう)に区別できるものではない。センニンソウは本種によく似るが、小葉に鋸歯はない。

[門田裕一 2020年3月18日]


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百科事典マイペディア 「ボタンヅル」の意味・わかりやすい解説

ボタンヅル

本州〜九州東アジアの山野にはえるキンポウゲ科のつる性多年草。葉は3出複葉で小葉は卵形,ときに3裂し,縁には鋸歯(きょし)がある。夏,葉腋から集散花序出し,径1.5〜2cmの白花を上向きに開く。萼片は4枚,花弁状で平開し,花弁はない。おしべは多数。

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世界大百科事典(旧版)内のボタンヅルの言及

【センニンソウ(仙人草)】より

…北海道南部から台湾までと南朝鮮から中国大陸南部,小笠原諸島に分布し,外国ではしばしば観賞用に栽培される。威霊仙(いれいせん)と称して薬用にされるものは,本来はシナセンニンソウ(一名サキシマボタンヅル)C.chinensis Osbeckの根であるが,センニンソウも広く用いられている。鎮痛薬などにされる。…

※「ボタンヅル」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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