ホークイリ(英語表記)Ho Quy Ly

改訂新版 世界大百科事典 「ホークイリ」の意味・わかりやすい解説

ホー・クイ・リ (胡季犛
)
Ho Quy Ly
生没年:1336-1407

ベトナムのホー(胡)朝(1400-07)の創始者。もとの姓はレ(黎)。その一族チャン(陳)朝の5代ミントン(明宗)帝以来宮室と外戚関係にあり,9代ゲトン(芸宗)帝,10代ズエトン(睿宗)帝は彼のいとこにあたる。ゲトン,ズエトン2帝の信任あつく,1377年ズエトンが対チャンパ戦に戦死したのちは軍の実権を握り,88年には11代廃帝を殺して女婿のトゥアトン(順宗)を即位させ,95年には入内輔政大師として実権を握った。1400年に13代少帝に譲位させてみずから帝位につき,国号をダイグ(大虞(たいぐ))と称した。翌年位をミントンの孫にあたる長子ハントゥオン(漢蒼)に譲り,みずからは太上皇となった。しかしこの奪は明の介入口実を与え,06年永楽帝は大兵をベトナムに進攻させ,07年タインホアに逃げたホー・クイ・リ親子を捕らえて金陵で斬殺した。以後,1428年のレ・ロイ(黎利)による独立回復まで,ベトナムは明に占領される。ホー・クイ・リはベトナム最初の紙幣〈通宝会鈔〉の発行チュノムによる文芸推進,地方行政制度の改変,限田法,限奴法の施行などを行い,貴族制的色彩の強かったチャン朝の制度を律令的体制に急速に移行させ,次代のレ(黎)朝を準備した。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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