ホームルーム(英語表記)home room

精選版 日本国語大辞典 「ホームルーム」の意味・読み・例文・類語

ホーム‐ルーム

〘名〙 (homeroom) 教科担任制をとる中学校高等学校で、生活指導のために設けられた生徒組織の基準単位。また、その学級の指導運営連絡出欠確認のための部屋時間
※人間の壁(1957‐59)〈石川達三〉上「生活指導のこと、ホームルームのこと」

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デジタル大辞泉 「ホームルーム」の意味・読み・例文・類語

ホームルーム(homeroom)

教科担任制をとる中学校・高等学校で、生活指導のために設けられる生徒の基礎的な生活集団。また、そのための部屋や特設時間。1920年代に米国中等学校に発達し、日本へは第二次大戦後導入された。HR

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改訂新版 世界大百科事典 「ホームルーム」の意味・わかりやすい解説

ホームルーム
home room

教科担任制をとる学校において,学級担任制に準じた生徒指導や生徒の自治活動を行うために設けられた部屋そのもの,またその時間枠,さらにその生徒集団をいう。アメリカでは第1次大戦前後から,中等教育大衆化が進み,教育課程の多様化,個性化が図られ,課程・科目を総合的に設ける総合制の中等教育がつくられていった。その結果,それまでの学級は,選択教科制と教科担任制のもとで多様な教科別の学習集団へと分化し,生徒の学校生活の基盤という重要な役割を失ってしまった。それを補う形で,ホームルームは自治的・社交的活動と生活指導を計画的に展開する基礎集団として登場した。それは,一定地域の生徒を,人種,階級,性別,能力にかかわりなく共同生活をさせようという共同教育の理念を実現するものと考えられた。その機能には大きく分けて管理経営的な機能と生活指導的な機能があり,前者はいわゆるショートタイムのホームルームで行われ,後者はロングタイムのホームルームで運営されている。

 日本では第2次大戦後の教育改革によって,中等教育の民主化が進められ,総合制,男女共学制,小学区制の中等教育が提唱された。このとき,ホームルームは男女共学制や小学区制にみられる共同教育の目的にかなうものとして中学・高校に導入された。しかし,従来の伝統的な学級経営との関連についても,この新たな教育形態についても理解が不十分であったため,その運営上さまざまな支障をきたした。とくに中学校では選択科目が少ないために学級とホームルームが同一集団になったり,教科学習とは異質な時間のとり方をするはずが,教科の時間割の中で便宜的に処理されるなどした。くわえて1960年前後から総合制,小学区制が後退し,高校の多様化や序列化が強化されるにつれて,ホームルームは学科別,課程別,能力別の学級と同じものになり,生徒管理の機構と化して現在に至っている。中学校においては1958年の学習指導要領改訂によってホームルームの名称は消え,その内容は道徳や特別教育活動の時間に吸収された。しかし,組織的な活動の中での自由な自己表現などの人格形成の場を提供したことや,学校における〈生活集団〉と〈学習集団〉の関連がどうあるべきかという問題を提起した点で,その教育的意義はけっして小さくない。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ホームルーム」の意味・わかりやすい解説

ホームルーム
ほーむるーむ
homeroom

高等学校において、学校が編制する40名前後の生徒集団によって行われる日常的な生活活動およびその指導。教育課程上は教科外活動、すなわち特別活動として位置づけられ、通常、そのために週当り一単位時間があてられるが、多くの学校が、そのほかにも、毎日、始業時およびその日の授業の終わりに、10分程度のホームルームを実施している。また、この種の生徒集団に固定的に割り当てられた教室をさす場合もある。

[井上治郎]

性格と現状

ホームルームの制度は、もともとはアメリカの中等学校に始まったものであり、そこでは、学級よりも相対的に小さい生徒集団を設けて、家庭的な雰囲気のもとで、生徒の活動やその指導を行う基盤とされていたものが、1947年(昭和22)の現行の学校制度の発足の時点で、日本にも取り入れられたものである。

 したがって、学校における生徒の基礎的な生活の場というのが、その一貫した性格づけになっているが、わが国の高等学校の場合には、単位制が未発達の結果、学習のための単位集団、すなわち学級が、実質的にはそのまま基礎的な生活の場となり、学級即ホームルームと考える傾向が支配的である。最初から単位制を導入しなかった中学校にあっては、この名称そのものも、58年以降は廃止されている。

[井上治郎]

内容と組織

ホームルームにおいては、ホームルーム担任の教師が主たる指導者となって、生徒たちの共同生活を充実させるためのさまざまな自治的活動や、個人および集団の一員としての生き方に関する指導、学業指導、進路指導などが継続的に行われることになっている。また、出席点検、各種の伝達、家庭への連絡などの、学校の事務的な仕事も処理される。これらを効果的に実施、展開するために、ホームルームには、各種の役員や係などの役割分担組織が一般に設けられている。

[井上治郎]

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百科事典マイペディア 「ホームルーム」の意味・わかりやすい解説

ホームルーム

中等教育などでは,選択科目制,教科担任制のために教師を含む学級編成が流動的である。そこで,学級担任制の場合と同様に,一定の生徒の集団生活と一人の教師による生活指導の計画的展開ができるよう生徒集団を編成し,時間枠を設ける。この時間枠,またその生徒集団,さらにその部屋をホームルームという。米国で1920年代に普及し,日本では第2次大戦後に導入された。
→関連項目学級特別教育活動

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世界大百科事典(旧版)内のホームルームの言及

【クラブ活動】より

…ところが,19世紀末から第1次世界大戦にかけて,中等教育の大衆化の波のなかで,多種多様な青年文化がハイ・スクールにもちこまれ,開放的で民主的なクラブ活動が生徒によってつくられていった。学校当局は当初これに無関心であったり,弾圧的であったが,やがてその教育的価値を評価して奨励するようになり,第1次大戦後,ホームルーム活動や自治活動とともにこれを教育課程化curricularizeして,正規の時間を与え,単位認定を行うようになった。 日本の中等教育にあっては,クラブ活動は明治後年から自主的活動として,また指導者としての資質の訓練として組織されはじめたが,1909年の〈講演会記念会運動会等監督方〉や24年の学校劇禁止の訓令に見られるように,文部省はこれに概して消極的かつ統制的であった。…

※「ホームルーム」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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