ホームスパン(英語表記)homespun

翻訳|homespun

デジタル大辞泉 「ホームスパン」の意味・読み・例文・類語

ホームスパン(homespun)

手紡ぎの太い紡毛糸を用い、手織りにした素朴で野趣のある毛織物。また、これに似せて機械工程によって作った織物。洋服地などに用いる。

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精選版 日本国語大辞典 「ホームスパン」の意味・読み・例文・類語

ホームスパン

〘名〙 (homespun) 手織りの布。特に、手織りのような感触の、太い手つむぎの糸で織った毛織物。あらい平織または斜文織。また、これに類似の織物。
明暗(1916)〈夏目漱石二八「ホームスパン見た様なざらざらした地合背広

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改訂新版 世界大百科事典 「ホームスパン」の意味・わかりやすい解説

ホームスパン
homespun

家庭で紡いだ〉すなわち手紡ぎによる太番手の粗糸,およびこれを用いた織物をいう。手紡ぎ,手織が生み出す独特の風合いと温かみが特色で,通常は平織の毛織物を指す。ホームスパンは製織後,手作業でセッケン水に浸し,たたきながらわずかに縮絨(しゆくじゆう)し,その後棒巻き,湯のしをして形を整え,乾燥を行って仕上げる。布幅は,手織機を使用するので通常はシングル幅(71~74cm)である。ツイードも元来はホームスパンの一種である。現在は機械による紡績糸を使用し,製織のみ地元の農家の手織による織物に変化してきている。日本でのホームスパンづくりは大正時代の初め,岩手県の一農家で始められ,後に組合組織による生産が知られている。岩手のホームスパンは手作業を中心とした伝統的生産方法をとり,風合いと民芸的な色柄を生かし,高く評価されている。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ホームスパン」の意味・わかりやすい解説

ホームスパン
ほーむすぱん
homespun

もともと手紡の、繊度の不ぞろいになった太い紡毛糸を使い、粗く平織に手織機で製織し、縮絨(しゅくじゅう)せずに仕上げた紡毛織物であった。そのため素朴な味があり、多くの人々に愛用されてきた。現在ではこの風合いに似せて、繊度を不ぞろいにし、雅味をもたせて紡いだ太番手の機械紡績糸を使い、力織機で織ったものである。この織物の風合いは、ツイードとよく似ているため、混同されることが多い。というのも、ツイードの場合は斜文(しゃもん)織であるのに対し、ホームスパンは平織であるということが違っているにすぎない。用途は、婦人コート、背広、運動服、室内装飾品などである。

[角山幸洋]

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百科事典マイペディア 「ホームスパン」の意味・わかりやすい解説

ホームスパン

紡毛織物の一種。本来はあらい羊毛を手紡ぎした太糸を用いて手織にしたもので,組織は平織が多い。スコットランドが本場で家内工業的につくられた。粗剛で糸節があるが野趣に富み風格がある。堅牢(けんろう)でスポーティーな服,コートなどにする。近年は手織に似せて機械で大量生産される。日本では大正時代に岩手県で作られはじめた。
→関連項目ツイード

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ホームスパン」の意味・わかりやすい解説

ホームスパン
homespun

家庭で紡いだ糸で織った織物の意。転じて,手紡ぎの太い糸で粗く織ったラフでルーズな感じの平織または綾織の織物。用途はオーバー,ジャケット,ネクタイ地など。

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