ホーペイ(河北)省(読み)ホーペイ(英語表記)Hebei

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ホーペイ(河北)省」の意味・わかりやすい解説

ホーペイ(河北)〔省〕
ホーペイ
Hebei

略称はチー (冀) 。中国,華北地方北東部の1級行政区。 10特別市と8地区に分れ,12市,121県,6自治県が含まれる。行政中心地はシーチヤチョワン (石家荘) 特別市。中央のペキン (北京) 直轄市,東部のテンチン (天津) 直轄市は省境外である。漢代に主要部が冀州に属したことから略称が生じた。河北の名は唐の河北道に始り,ホワン (黄) 河の北にあることによる。中央から南部はホワペイ (華北) 平原北端にあたり,ホワン河,ハイ (海) 河,ロワン (灤) 河による沖積平野である。西境をなすタイハン (太行) 山脈のふもとから東のポー (渤) 海沿岸までゆるく傾斜する。北部はホワペイ平原と内モンゴル (蒙古) 高原との移行地帯をなす山地で,標高 1000mをこえる山峰も多い。山間には広い盆地がある。気温は北部と南部とでは大きく異なるが,いずれも年較差が大きく,降水は夏季に集中して冬季は乾燥する。1月の平均気温は北部で-22℃,南部で-3℃,7月は 17℃と 28℃。年降水量は 400~800mm。省の大部分はハイ河の流域で,夏季の氾濫が絶えなかったが,人民共和国成立後,ダムの建設,堤防の修築,放水路,灌漑用水路の開削などが進み,特に 1963年の氾濫ののちには系統的な治水工事が行われた。食糧作物はコムギを中心にトウモロコシ,コーリャンが多い。工芸作物としては南部の平野が中国最大の綿作地であるほか,ナンキンマメとダイズが多い。北部では牧畜が盛ん。果樹はクリ,アンズ,カキ,ナシ,モモ,ブドウが多い。沿岸では漁業が盛んで,また塩田が多く,テンチン市も含めてチャンルー (長蘆) 塩田と総称されて,産額は中国最大である。地下資源は石炭が豊富で,タンシャン (唐山) 市のカイロワン (開 灤) 炭鉱,タイハン山脈東麓のチンシン炭鉱,フォンフォン (峰峰) 炭鉱が大規模である。中部のレンチウ (任丘) 市からテンチン市にかけて,ホワペイ油田が開発されている。鉄鉱山も比較的規模の大きいものがあり,ほかに銅,鉛,亜鉛の産出もある。工業は綿紡織,鉄鋼,機械,化学が発達。ペキン市の周辺にあるために放射状に幹線鉄道が通り,交通網の密度が高い。住民は大部分が漢族であるが,モンゴル族,満州族,ホイ族,朝鮮族なども住む。面積 18万 km2余。人口 6108万 2439 (1990) 。

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