精選版 日本国語大辞典 「ホモサピエンス」の意味・読み・例文・類語
ホモ‐サピエンス
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現存している人類種,現生人類のこと。私たち自身の種であり,人類の進化区分では新人に当たる。およそ20万年前にアフリカでホモ・ハイデルベルゲンシスから進化し,8万~5万年ほど前から主として文化的な適応によって世界中に急速に拡散し,その過程でいくつかの人類種を絶滅させ,今では地球上のあらゆる環境に住んでいる。サピエンスの模式標本は決められていない。古生物学者コ-プE.D.Copeによる遺骨を模式標本にする試みがあったが,一般の認知を得ていない。一般動物では亜種に相当するサピエンスの地域集団は人種と呼ばれ,それらの違いは拡散の過程および現在の気候環境に対する適応を反映していると考えられる。サピエンスは,1万年ほど前から農耕牧畜を開始し,文明を発祥させ,さらに工業革命を起こして,急激に増殖した。資源を枯渇させ,環境を破壊して,食糧不足を起こし,近い将来の衰退が心配されている。
→新人
執筆者:馬場 悠男
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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