ホフマン分解(読み)ホフマンぶんかい(英語表記)Hofmann degradation

改訂新版 世界大百科事典 「ホフマン分解」の意味・わかりやすい解説

ホフマン分解 (ホフマンぶんかい)
Hofmann degradation

1881年ドイツの化学者A.W.vonホフマンにより見いだされた反応。第四級アンモニウム塩を熱分解させ,アミンオレフィンを生成する反応。環式アミンの開環反応として,あるいはオレフィンの合成法として有用である。式(1)に示すように,アミンをヨウ化メチルCH3Iで処理した後,水酸化銀AgOHで水酸化物とし,これを加熱すると脱離反応(これをホフマン脱離という)が起こり,オレフィンが生成する。同様の過程を繰り返して最終的にオレフィンとアミンが得られる。

この全過程をホフマン分解と呼ぶ。ホフマン脱離はオレフィンの選択的合成に有用である。第四級アンモニウム塩(水酸化物)の熱分解にみられるように,置換基の少ない炭素に結合したC-N結合が選択的に切れ,エチレンが優先的に生成する(式(2))。

また,この反応はシス脱離(シス型に結合した2個の置換基が脱離する反応)で進行する。
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化学辞典 第2版 「ホフマン分解」の解説

ホフマン分解
ホフマンブンカイ
Hofmann degradation

アミンをヨウ化メチルでメチル化して第四級アンモニウム塩にし,これに湿った酸化銀を作用させて生じる水酸化物を加熱すると,アルケンと第三級アミンに分解する反応.たとえば,シクロヘキシルアミンからトリメチルアミンシクロヘキセンを生じ,トリエチルアミンからはジエチルメチルアミンとエテンを生じる.

アルキル置換のより少ないアルケンが優先して生成する(ホフマン則).

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

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