ホネナシサンゴ(読み)ほねなしさんご

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ホネナシサンゴ」の意味・わかりやすい解説

ホネナシサンゴ
ほねなしさんご / 無骨珊瑚

腔腸(こうちょう)動物門花虫綱六放サンゴ亜綱ホネナシサンゴ目Corallimorphariaに属する海産動物の総称。主としてサンゴ礁浅海に産するものと、深海産のものとに二分できる。多くは単生で、まれに共肉のようなもので数個体が連なることがある。外観はイソギンチャクイシサンゴに非常によく似ている。骨格がないため、長い間イソギンチャク類に含められていた。しかし、なおイシサンゴ類とみなす学者もいる。隔膜配列はイソギンチャク類やイシサンゴ類と同様に放射状に増え、ツノサンゴ類のように第1~第2環列で止まることはなく、またハナギンチャク類やスナギンチャク類のように隔膜が体壁の1点からのみ増えることもない。下端はイソギンチャク類のようなはっきりした足盤あるいは球底とはならず、イシサンゴ類やウミトサカ類のような固着型で、足盤筋を欠く。体壁は滑らかで、いかなる突起物もない。触手は縮退できず、個体がしぼんでもつねに見えている。触手は単純なイソギンチャク型の種と、枝分れした種があり、単純型の触手はイシサンゴ類にみられるように先端に刺胞球をもつことが多い。隔膜糸には太い刺糸がコイル状に巻いた非常に大形の刺胞が多くあり、これはイシサンゴ類の隔膜糸と共通する性質で、イソギンチャク類の隔膜糸にはこの種の刺胞はない。単純型の触手をもち、その先端に刺胞球をもつホネナシサンゴ科Corallimorphidaeと、単純型か枝分れした触手をもち、触手の先端に刺胞球を欠くイソギンチャクモドキ科Actinodiscidaeがある。ホネナシサンゴ科には深海性のCorallimorphusと浅海性のCorynactisが属し、日本でもわずかの種が知られている。イソギンチャクモドキ科は一般に暖海のサンゴ礁に生息し、ActinodiscusRhodactisなどがある。

[内田紘臣]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

脂質異常症治療薬

血液中の脂質(トリグリセリド、コレステロールなど)濃度が基準値の範囲内にない状態(脂質異常症)に対し用いられる薬剤。スタチン(HMG-CoA還元酵素阻害薬)、PCSK9阻害薬、MTP阻害薬、レジン(陰...

脂質異常症治療薬の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android